ステーキを下町で (文春文庫 ひ 20-4)
ステーキを下町で (文春文庫 ひ 20-4) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
今回、平松洋子さんが最初に向かった先は帯広。「ぱんちょう」で元祖豚丼を食べるためである。日本の東端、根室にも足を運んでいる。目的は当然さんま。一方、南は那覇の「すずらん食堂」と栄町市場へ。北にうまいものあれば北に行き、南に珍味ありと聞けば南へ。かくして彼女は日本全国を行脚する。これをやるには味を表現する文章力だけではとうてい勤まらない。同時に健啖家でなくてはならないのである。表題に採られたステーキは墨田区東向島の「レストラン カタヤマ」で。彼女のオーダーは「駄敏丁カットステーキ」510g。見事に完食!
2021/12/26
KAZOO
雑誌の「オール読物」に連載されていたものをまとめたもので、私は読んでいるとおなかがすいてきます。記事と谷口ジローさんの絵がまたぴったりで、全国津々浦々の食べ物やお弁当の話が満載です。しかもそんなに高いところや気取ったところではなく、下町などの食堂などでのはなしです。510グラムのステーキや鹿児島の分厚いとんかつなど体に良くないとは思いながら食べたくなります。楽しい話です。
2016/02/14
のぶ
読み始めていきなり、帯広の豚丼の話を読んだ途端に食欲が沸き、口に唾液が溢れてきた。とても面白く興味深いエッセイ集だった。豚丼以外にも、さんまの話や鮟鱇の話、その他、全部で13話が収められている。それぞれの章が、15~20ページの長さがあるので、食材の紹介に留まらず物語がある。その内容がこれまた面白い。平松さんの食べ物のエッセイを読むのは3冊目でどれも楽しいが、本書は谷口ジローさんの漫画も挿入されていて、それも良かった。まだこのシリーズ未読が残っているので、まだ楽しみは続きそうだ。
2020/10/07
ばう
★★★★平松さんは本当に食いしん坊なんだろうなぁ。美味しいものがあると聞けば北へ南へ、何処へでも突き進んでいく。そんな方が書く美味しいもの探訪記だから面白くない訳がない。単なる名物料理の紹介では無く食べ物への感動、生産者や料理人の方への感謝の気持ちに溢れている。三陸の味の章では震災で大打撃を受けながらも前向きに頑張っている地元の人達の姿に今更ながら頭が下がった。そして東京駅!今や東京駅の構内のお店は広がりすぎて案内図を見ても私などさっぱりわからない状態だけれど一度じっくり探索してみたいものだ。
2017/05/24
ユメ
平松洋子さんの文章と谷口ジローさんの画は最強のタッグだ。平松さんがたっぷりの思い入れを込めて書く食の情景が私のお腹をぐうぐうと鳴らし、谷口さんの画がそこに追い打ちをかける。全国津々浦々「日本でここにしかない味」を求める旅。その土地で大切に受け継がれ、地元の人から愛されてきた味には、ご機嫌になって頬張る笑顔がつきもので、読んでいるこちらもにこにこしてしまう。平松さんは、どこに行ってもその土地の懐に飛び込むのがうまい。その店の情景にしっくりと馴染み、そこでしか聞けない言葉を汲み上げるのは達人芸と言いたくなる。
2017/01/19
感想・レビューをもっと見る