心の鏡 ご隠居さん(二) (文春文庫 の 20-2)
心の鏡 ご隠居さん(二) (文春文庫 の 20-2) / 感想・レビュー
はつばあば
鏡を磨くのも心を磨くのも、人の話が聞けることが基本じゃないかしらと梟助さんの生き方を見習いたいと思う私がいる。人をクタタメル(信州じゃそう云うのだそうです)言葉の氾濫する今、江戸時代の熊さん八つあんの長屋暮らしと今の高齢者の生き方をどうしても比較してしまう。医療の発達で長生きし過ぎて、尚且つ子供達も自主自立。もしくは親依存。同じ下流老人なのだが、技術が発達するにつれ金属の冷たさを感じる現代と、貧しさの中にぬくもりを感じる江戸庶民の生活。落語と時代物に酔えるのは、その温かさを求めてのことだと一人うなずく。
2015/09/18
み
続けてシリーズ2作目、さくさくと♪1作目よか楽しみましたが、ちと苦手な感じ…。ご隠居さまもお客さんも、お話し相手が欲しいのよね、話し相手に困らないよう、友人は大事だわ(^o^)
2016/01/11
ひさか
2015年9月文春文庫刊。書き下ろし。シリーズ2作目。松山鏡、祭囃子が流れて、婦唱夫随、夏の讃歌、心の鏡、の5つの連作短編。相当に古い白銅鏡を磨ぐ「心の鏡」が秀逸。梟助が旅稼ぎの鏡磨師の師匠から伝えられたという心構えと手法、鏡磨ぎの様子が興味深く楽しく夢中になってしまった。「夏の讃歌」は梟助ではなく鏡磨ぎのお客さんが語る話として構成されていて連作の間口の広さを感じます。次作も楽しみ。
2021/09/12
onasu
江戸の商家や武家を、鏡磨ぎで回る梟助(きょうすけ爺さん、と言われるのは好かないよう)の第二弾。 読者には、初編で小間物問屋の「ご隠居さん」と明かされているが、作中では話し上手で聞き上手、特に落語には詳しい博識で、「何者だ」てのは控え目になったけど、数ヶ月毎に訪れる先では、磨ぎながらの話しを心待ちにしているところも少なくない。 お得意さんを掴むには、技巧もさることながら話術も大きい、とは古今を問わない。そんな中、表題作だけは、古い鏡に纏わる不思議と磨く技巧が前面に出た中編で、上手く趣向を変えている。
2015/09/29
タツ フカガワ
シリーズ2作目。短編5話を収録。梟助は博識で話が面白い爺で得意先から来訪が待たれている鏡磨ぎ師だが、表題作は垢にまみれた古代白銅鏡を一心に磨ぐ姿を描いた話で、これがいちばん面白かった。
2019/04/22
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