小鳥来る日 (文春文庫 ひ 20-5)
小鳥来る日 (文春文庫 ひ 20-5) / 感想・レビュー
佐島楓
なんでもないような日常も、平松さんの筆にかかれば今鮮やかに、活き活きと動き出す。好きな作家さんの文章に出会うと、目がよろこぶ。目をよろこばせながら読むことができた。
2016/06/08
ユメ
あらすじには「さりげない日常はたくさんの奇跡に満ちている」という一文が。ぼんやりしていればただ過ぎ去ってしまう日常の中から、きらきらしたものを掬い上げられるのは、平松さんの「目」がすぐれているからだ。その眼差しは、特に人に向けられるとき、温もりを増すように思う。平松さんの文章は、「食」がテーマであっても、料理の美味しさと同じぐらい、食卓の向こうにいる人の表情を印象に残す。人の営みを慈しんでいるのだな、そう感じる。だから、平松さんの目を通して見た日常は心に沁み入るのだ。私にとって憧れの女性である。
2017/02/14
ささのは
歩いているうちに靴下がずり下がっていった経験はないだろうか。私だったらああもうとその場限りで思い、すぐに忘れる。だが著者は見過ごさない。靴下を好んで食べる、怪しげな靴の話にしてしまう。誰もが体験するがあえて意識しないちょっとした出来事を、著者は日常の中の輝きとして活写する。「物は言いよう」ということわざをいい意味で体現している作品だ。お喋りのようなエッセイではなく、小説寄りだと感じた。映像が浮かんでくる。言葉使いが気持ちいい。たまに吹き出してしまう。何度も味わえそうないい本なのに、登録が少なくて残念。
2016/05/04
メイ&まー
平松さんのエッセイは、粋ですっきり辛口でぴっと背筋が伸びる思い。只今の気分ではもうちょっと柔らかいものが読みたいなあと思ったのだけれど、立ち読みで『ホムラさんの甲羅干し』を読んでふらふらとレジへ。友人のホムラさんとは穂村弘さんのことかしら。黒縁眼鏡だし。あたたかな日差しに首をにゅっと付き出してさながら亀の甲羅干しの様相なホムラ氏。(更にそれを喫茶店から盗み見ている洋子さん。)もうその描写だけで買わずにおられないでしょう。そのほか、喫茶店で若い同棲カップルが夕飯のはなしをする(のを盗み聞く)回も好き。
2016/08/06
アズル
パパッと読むのがもったいなくて、毎日少しずつ歩を進めていきました。あぁ、これはどこかで読んだことがある、と思ったのは、実家で毎日新聞を取っているからでした。何気なく読んでいて、意識の下に沈殿していたんだなぁ。私も子供が出来たら、おんぶをしたくなりました。お父さん、お母さん、どちらのおんぶも感じてほしいです。
2016/06/18
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