太陽の棘 (文春文庫 は 40-2)
太陽の棘 (文春文庫 は 40-2) / 感想・レビュー
ミカママ
装丁が気になって、いつか読みたいと思っていたマハさん。この作品について、沖縄そしてその歴史をまったく知らない私が語るのは難しい。カバーの絵はまさにゴーギャンタッチ。ドクター・ウィルソンのオフィスに掛かっているという絵画を、私も手に取ってみたい。
2017/03/12
三代目 びあだいまおう
大戦の時の沖縄での壮絶で凄惨な歴史。ひめゆりの塔の悲劇も、息子が舞台で演じたこともあり興味深く調べた。戦時中の戦略的な位置というだけで米軍と日本軍の双方に蹂躙された沖縄。青く澄んだ美しい海と緑、島民の優しさと明るさがまるで聖域のように拡がる宝石の土地沖縄。この作品は、戦後間もなくの沖縄で、米軍精神科医が沖縄の自然を愛した画家達との偶然の出会いを描いた実話。芸術という、言語を挟まない世界共通言語を通じ、戦争という大枠の是非でなく、国を越えた『個人』の心を紡ぐ、まさに宇宙船地球号の原田マハVer です‼️🙇
2019/10/20
mae.dat
戦争には直接参加していないとは言え、アメリカ人医師と沖縄に在住する画家との友情物語。まさかそんな事が可能であるとは。そしてそれが、実話をベースに書かれていたとはね。凄いね(語彙力)。第2次世界対戦直後のアメリカ軍の統治下にある沖縄と言う、とてもデリケートな問題を含んだ地を舞台にしており、マハさんの手腕に信頼を寄せつつも、いつ地雷を踏んでしまうのかと、別の部分でもハラハラしましたよね。メッセージカードはちょいちょいあったけど、マーガレットと心情も気になる所です。忍耐ですか。その辺りは触れられていないのね。
2023/10/28
yoshida
1948年、米国の統治下にある沖縄。エドは米軍の軍医として沖縄へ赴任する。休日に戦火の爪痕の残る沖縄を車で走るエドと同僚達。彼等はニシムイ美術村を見つける。そこでエド達は沖縄の若き画家達と出会う。かつては画家になる夢を持っていたエドと、タイラやヒガの沖縄の画家達の交流が始まる。まだまだ鮮明な沖縄戦の記憶。苦しい沖縄の人々の生活。米軍の規律の乱れによる沖縄の人々への被害。様々な壁があるが、美術を通して交流を深めてゆく。実話をもとにした作品。人々は芸術を通し恩讐を越えて寄り添えるのか。可能性を考えさせられた。
2017/05/25
SJW
サンフランシスコで精神科医をしているエドが、終戦直後の沖縄でのニシムイ美術村での画家達との交流を回想する小説。実在の人物がモデルで、アメリカ人と日本人の交流が描かれておりとても興味深い。また当時の沖縄の状況、生活、文化も分かり、戦後の混乱を改めて知ることができた。冒頭に出てくるエドが診療している病院は金門橋のたもとのプレシディオ。以前、出張した時に「プレシディオの男たち」という映画が良かったので行ってみたが広い公園しかなく戸惑った。この小説で1994年に軍師施設が無くなったと説明がありやっと納得できた。
2019/08/22
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