ゴールデン12 (文春文庫 な 1-34)
ゴールデン12 (文春文庫 な 1-34) / 感想・レビュー
有理数
夏樹静子の傑作短編集。さすがに傑作が多い。どちらかといえば落語のようなオチだったり、結末が見えやすいものもあるが、基本的に過程がキレッキレで、ツイストも冴え渡り、どれも高水準の作品ばかりです。ベストはあれもいいな、いやしかしこれも……と、迷います。タイトルの付け方も秀逸。読み終えた後にハッとさせられます。究極の犯罪コメディ(?)「特急夕月」、事件の捻くれ具合が思わぬ着地へ「懸賞」、弁護士・朝吹里矢子のシリーズ、法廷ものの大傑作「二つの真実」あたりがお気に入り。夏樹静子、もっと読みたい。
2017/07/29
アヴォカド
惜しげもなく詰め込まれた12編。「一瞬の魔」など充分に長編に出来るネタではないだろうか。科学や技術の進歩と共に古びてしまうトリックがあるのは不可避だが、そこに至る人間の情念のようなものは、いつの世も同じだ。
2017/08/05
黒豆
タイトルからわかるように選別された12の短編集、読んでいて時代背景の古さを感じ、初刊の年代を見ると昭和46年から平成3年、本巻は平成6年、何となく納得。 話の展開で種明かしに終始せず、暗示的に終わる手法も悪くはない。オススメは「カビ」と「死なれては困る」
2019/05/12
Ayako
作家生活25周年を記念して選ばれた12の短編集。さすがにどの作品もクオリティーが高い。特に「足の裏」「一瞬の魔」「カビ」が面白かった。トリックもさることながら、人間の弱さ・脆さを描かせたら、この人の右に出る人はいないと思う。
2017/08/02
ねこ丸
日本のミステリーの女王の傑作集なだけに一つ一つの話は本当におもしろかった。ただ男に裏切られたり騙されたりする女という構図が多くて、連続で読むとまたかって思うかも…。特にお気に入りを選べないくらいどれも良かったけど、あえて選ぶなら「かび」。この話はほんとこわい。巻末の対談を読んで少し安心。
2017/04/20
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