テミスの剣 (文春文庫 な 71-2)
テミスの剣 (文春文庫 な 71-2) / 感想・レビュー
ひさか
別冊文藝春秋2013年11月号〜2014年7月号掲載のものを2014年10月文藝春秋刊。2017年3月文春文庫化。冤罪を生んだ事件を23年間に渡り捜査する渡瀬刑事のストーリー。いつのまにかのめり込んで、力を入れて読んでました。あっと驚くラストの更にラストのお墓参りのシーンで、高円寺円と葛城が登場しましたが、テミスの剣は、「静おばあちゃんにおまかせ」の2年後の作品だったんですね。静さんファンです。
2021/07/18
hideko
『カエル男』で班長だった渡瀬がまだ駆け出しの刑事だった頃の物語。 昭和59年、不動産屋夫婦が殺された。すぐに楠木という容疑者があがる。渡瀬の先輩で検挙率No.1の鳴海は強引な取り調べで楠木を自白に追い込んだ。そして死刑判決。獄中、楠木は自殺を遂げる。 しかし、そう遠くない昔こんな強引な取り調べがあったのか。しかも証拠品の捏造。 この事件は渡瀬の原点であり、渡瀬という刑事を作り上げた。 今まで殺人事件→犯人逮捕までの話しか読んだことなかったので送検→裁判→判決とその後の過程は非常に興味深かった。
2017/09/13
三代目 びあだいまおう
テミスの像、裁判所の入り口にあるその像は右手に剣を持ち左手に秤を持つ。私は『静おばあちゃん』を先に読んでいたが、未読の方がいらっしゃったら、読む順番はその順をお奨めします。この本は「冤罪」の話!重いテーマです!しかも冤罪が発覚するのは、割りと早め。物語は半分残ってるのに⁉️中山先生らしく、考えさせられる!人間だからね、神様じゃないからね、ミスはあるよね。でも、ここは絶対にミスが許されない世界。重い、ホント重い❗個人的にお奨め本です!でも、やっぱり『静おばあちゃん』を先に読んで欲しいな‼️🙇
2018/11/08
SJW
「連続殺人機カエル男」や「切り裂きジャックの告白」で活躍した渡瀬刑事、「静おばあちゃんにおまかせ」で活躍した静おばあちゃん(裁判長として)、娘の円、葛城刑事などが登場し、中山作品のファンとしては盛り上がってしまう。渡瀬が扱った事件で逮捕した犯人は冤罪であることが後から分かる。それを揉み消そうとする警察組織と戦う渡瀬の勇気や覚悟が清々しく惚れ惚れとしてしまう。体制だけを批判するような社会派小説は苦手だが、ミステリーとサスペンスの要素を入れて読者を魅了させる小説に仕上がっている。今回もどんでん返しが用意されて
2018/02/18
nobby
始まりは昭和59年のある強盗事件から、後半の舞台は平成24年のある殺人へ、各章題に含まれる“冤”の示す通り重厚で読み応えある快作。まさしく冤罪はこうして生まれるを読む序盤は眉ひそめるばかり…数年後明らかになる事態への若き渡瀬の至誠な決断に勇気づけられるも、予想以上の多大な反響には彼ともども愕然とする。公権力の履き違えに嫌悪感じるも助長しているのは民意やメディアなのか…法治国家ゆえ与えられている人を裁く力、本来持つべきは神のみぞという事実が心に響く。ラスト30頁位での怒濤の真相は少し強引ながらも流石♪
2017/09/09
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