新装版 紫のアリス (文春文庫) (文春文庫 し 34-16)
新装版 紫のアリス (文春文庫) (文春文庫 し 34-16) / 感想・レビュー
徒花
まあまあ。ところどころ言葉の使い方や物語の細かい設定が古臭いところがあるものの、混濁した記憶を持つ主人公を中心に不思議の国のアリスの登場人物たちが登場しつつ、不倫やら横領やら老人ホームやら自殺やら不慮の死やら、ドロドロした人間関係と不穏な事件が取り巻くどす黒い雰囲気は嫌いじゃない。ただ、こうしたサイコ系の話にありがちなように、最後の最後でいまいち話の結論がわかりにくく、読者に解釈をゆだねる部分があるのはちょっと肌に合わない。あと、真相はミステリをそこそこ読む人なら見通せる展開ではある。
2017/07/18
やっさん
★★★★☆ 終盤の二転三転が気持ちいいファンタジックミステリー。西澤保彦氏の解説が、作品の価値を高めていると思う。100個ばらまいた伏線を99個だけ回収するような〝読者の翻弄〟は、しばらく戸惑ったけど僕は好きです。
2018/01/05
ゆみねこ
不倫を清算し、長年勤めた会社を退職した紗季。夜の公園で不思議なウサギと男の変死体を見た。引っ越した先のマンションには、必要以上に親切な老婦人。アリスのキャラクターと紗季が封印していた15年前の事件の真相。先が気になり一気読み。柴田さんの紡ぎだす世界観はとても魅力的。
2017/05/23
ワレモコウ
会社も辞め不倫相手とも別れた紗季の周りに、「不思議の国のアリス」の登場人物が現れたり、危険な目にあったり、殺人が起こったりする。誰も信じられなくなり、精神も不安定になる。 まず、初っ端から紗季は大丈夫なのか?の疑問が湧く。夢と現実の境はどこにあるのか、読者は誰を信じればいいのか混乱する。そこが狙いなのか、確かに一気読みしてしまう。なんとなく、未回収の部分もある様な??まぁ、面白かったから良しとするか。感想書きにくいわ(笑)
2021/05/01
とろこ
何が事実で、何が幻なのか。読み進めるごとに、紗季の記憶が曖昧なことに不安を覚える。そして、同時に、自分の記憶が確かなものなのか、不安になった。終盤は、人が持つ執念の恐ろしさに震えながらも、ただただ物悲しい気持ちになった。
2018/01/28
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