繁栄の昭和 (文春文庫 つ 1-18)
繁栄の昭和 (文春文庫 つ 1-18) / 感想・レビュー
優希
面白かったです。全体を通じて「演じる」ということがテーマなのかなと思いました。それがフィクションとなることで、奇想的なメタフィクションとノスタルジックな世界を生み出しているのでしょう。どの短編もツツイワールド全開で、その妖しい世界にハマります。
2017/08/22
Shoji
短編集。物語は何れも昭和の香り漂う内容。昭和の時事や象徴的な一シーンをうまく織り込んでいて興味をそそるストーリー立て。ファンタジーやら喜劇やらエロいのやら、もちろんSFも。まるでおもちゃ箱をひっくり返したよう。楽しく読むことが出来ました。『繁栄の昭和』、『化学探偵帆村』が良かった。
2017/10/13
HANA
前半は昭和をテーマとした短編集。著者独特の抒情的なものを湛えた作品が多いように思われる。やっぱり舞台となっているのが、今は帰らぬあの日々だからかなあ。帝都ではなくなった東京のビルで起きた殺人が、思わぬ様相を呈する表題作や、遠藤平吉という名のサーカス団員の貴種流離。人造の内臓を取り換えつつ挑む探偵等、これまたどこか懐かしい面々があの日々を舞台に大活躍する。他にもカラッと明るい「リア王」や、退廃しつつある一族を描く「一族散らし語り」等、最近の著者のストーリングテリングを満喫することが出来る一冊となっている。
2017/09/25
ねりわさび
SFやシュールなフォークロア劇と昭和芸能についてのエッセイなどを編纂した短編集。昭和SFの重鎮である海野十三へのオマージュも捧げられており楽しめました。一族散らし語りとメタノワール、つばくろ会からまいりましたの三短編が特に秀逸で印象的でした。
2019/07/24
おにく
表紙の女性は“高清子”(こうきよこ)という戦前から戦後に活動した女優さんで、おもしろい事に筒井氏の奥さんとそっくりなのだそうです。それで今では奥さんを大事にしつつ、高清子さんの数少ない映像作品や情報を集めているのだそうで、それをまとめたエッセイ“高清子とその時代”と、近年発表した短編が収録されています。昭和繋がりなのか、冒頭は江戸川乱歩や海野十三といった探偵もののパロディなど異色な感じのものや“リア王”や“つばくろ会からまいりました”という心地よい余韻を持った作品が印象的でした。
2017/11/23
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