まほろ駅前狂騒曲 (文春文庫 み 36-4)
まほろ駅前狂騒曲 (文春文庫 み 36-4) / 感想・レビュー
ミカママ
やっと読めたシリーズ最終作(推定)、シリーズ中ベストなのでは。一作目から馴染みのある登場人物たちに感情移入できるからか。彼らのその後がゆるやかに踊り出し、それぞれの着地点へ向かう…にしても、しをんさんが「まほろ」を選んだ理由を知りたいね。「横中」は間違いなく「神奈中」だよね(笑)神奈中には2年間だけお世話になって毎日通学していたので、そんなことも思い出しながら楽しく読了。
2022/12/18
さてさて
『まほろ』の駅前で『便利屋を営む』多田と居候の行天のはちゃめちゃな日々が描かれるこの作品。そこには、絶妙な味を醸し出してくれる脇役たちの珍プレー好プレーの中にシリーズとしての強みが最大限に引き出された物語が描かれていました。架空の町『まほろ』の魅力に引き込まれていくこの作品。そんな町に繰り広げられる複数の物語を同時並行的に鮮やかに描く、三浦しをんさんの上手さに酔うこの作品。“三浦しをんが心血をそそいだ「まほろシリーズ」 ここに、大団円を迎えます!”という宣伝文句を伊達ではないと感じる素晴らしい作品でした。
2023/12/30
エドワード
第三弾は大長編だ。行天の元妻から頼まれ、彼の娘を夏の間だけ預かる多田。バス会社に抗議する岡老人。無農薬野菜を謳う団体と、ヤクザもどきの星の怪しい動き。キッチンまほろの柏木亜沙子と多田の恋もからみ、メンバーが混然一体となってグイグイ進む。多田の脳内独白を、三浦しをんさんのこなれた文章で書かれると「こいつアホじゃないぞ」と思い、「正しいと感じることをしろ、だけど正しいと感じる自分が正しいのか、いつも疑え」と子供を諭す行天に驚く。スラップスティックな味は残しつつ、どこか哲学的でホロ苦い印象だ。本当に終わりかい?
2017/09/25
タツ フカガワ
読むほどに多田と行天のキャラクターを思い出し、便利屋の個性的な常連客と再会していくのが楽しい。なかで、便利屋の仕事として病床を見舞っている曾根田の婆ちゃんとの会話で、婆ちゃんが便利屋に訊く。「あの世ってあるの?」と。「ないよ」と行天が即答するが、そのあと「でも、俺はあんたのこと、なるべく覚えているようにする。あんたが死んじゃっても。俺が死ぬまで。それじゃだめ?」(『政と源』でも、源が同様の意味のことを言っていた)。多田たちのそういうひととの繋がりに今回も笑ったり、ほろりとしたり、しみじみと読みました。
2017/09/22
黒瀬
シリーズ完結。大団円(?) すっかり巻き込まれ体質となり、平穏な日常は何処へやらの多田さん。今回は子供を預かり、変な宗教団体もどきと争い、挙げ句の果てにはバスジャック!?おじさん二人の痛快なドタバタコメディの終着点はいかに?本作はこれまでのシリーズと比べると人間関係がより立体的に描かれており、発言一つ一つが色々と考えさせられました。この二人にはずっと変わらない関係でいてほしいと思います。
2017/10/01
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