ブルース (文春文庫 さ 56-3)
ブルース (文春文庫 さ 56-3) / 感想・レビュー
さてさて
“影山の指が六本なのは、より多くの困窮にあえぐ者にチャンスを与えるために余分に備わったのではないか”と〈解説〉の壇蜜さんがおっしゃる通り、この作品には、『六本の指』という象徴的な身体的特徴を持つ影の主人公・影山博人が北国の街で出会う八人の女性の物語が描かれていました。道東の街の独特な仄暗さが物語の雰囲気感を作っていくこの作品。影の主人公・博人に感じる無双感と悲壮感の背中合わせな物語が読者を惹きつけてやまないこの作品。桜木ワールドここにあり!魅力溢れる物語に、すっかり酔わせていただいた素晴らしい作品でした。
2023/10/24
おしゃべりメガネ
6年半ぶりの再読ながら、本作の主人公ともいえる`指が6本ある謎の男`「影山博人」のインパクトはまったく薄れているコトはなかったです。舞台の大半となっている北海道は道東の釧路という街をこんなにも芸術的に綴る作家さんは桜木さんにして唯一無二なのではないでしょうか。「影山」に関わるあらゆる女性たちもそれぞれの哀しみや喜び、怒り、そして愛が釧路の霧のようにじんわりと濃さをまして、綴られています。官能的な描写を決して大袈裟にならないぎりぎりのトコでおさえる筆力は桜木さんならではの技ありなスタイルで、魅せられました。
2021/11/15
あすなろ
桜木ファンの僕が未読だった作品。桜木氏が釧路を舞台に描くハードボイルド小説連作集である。結論から言うと、桜木氏が描くハードボイルドの世界感に酔いしれた。あり得ない要素をあり得る様に描き読者を酔わせるのがハードボイルド。そして、それを透明な膜で覆う様に、そう正に釧路をよく包むという霧で包むかの様に、少しもどかしげに影山博人と各々の女性を包み込む。独特のテイストである。また、ラブホテル稼業の手伝いをされていた故の冷めた性描写をされる桜木氏の真骨頂という一面も持つ。それは限りなくドライである。酔いしれました。
2021/10/29
ゴンゾウ@新潮部
謎の男、影山博人。悪人なのか善人なのか。 ただ、交わるオンナ達は決して裏切らない。 白と黒のモノトーンな全編、色彩の無い世界感が影山の人となりを物語っている。
2019/03/03
🅼🆈½ ユニス™
桜木さんの素晴らしい1冊です。寒い情景と温かいけど、寒い人間模様が胸に沁み込み気持ち良かった。心の中で永遠に生きるものを抱えて、それが力の源になり人間は頑張っている。★5❗️
2019/09/29
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