アメリカの壁 (文春文庫 こ 5-13)
アメリカの壁 (文春文庫 こ 5-13) / 感想・レビュー
keroppi
トランプ大統領を予言したと話題になり、文庫化されたようだ。1977年から1978年にかけて発表された作品を集めた短編集。表題作は、壁を作ってしまうアメリカがテーマだが、「首都消失」のようでもある。小説としては、他の作品の方が面白い。生きているミイラや、探偵小説風のSF、女シリーズの一作、等バラエティに富んでいる。小松左京次男の実盛氏の解説を読みながら、「果てしなき流れの果に」を読み返したくなってきた。
2020/07/24
ネギっ子gen
【発掘本】6つの短編を収録。表題作は、そのタイトル名や内容から、トランプ大統領登場を予見したと話題に。確かに<“孤立”でうけた損害よりも利益の方が大きいはず>で、<広大なマーケット>を失っても、<もう外の世界から泥沼のような“援助”を求められたり、国連でちっぽけな国々につるし上げられたり、日本や西ドイツからの“追い上げ”をうけたり、“支配力”や“影響力”のぐらつきに焦ったりしなくてもいい>という記述などを読むと、現大統領があのような言動を繰り返しながらも再選が有力視されている理由が、少しだけわかった気が。
2020/02/29
おすし
『アメリカの壁』こういう政治思想的なのちょいちょいやりますねあんま好きじゃないっす。『眠りと旅と夢』今までの常識どこいった??って感じのSF大スペクタクル、それに加え世界観ガラッと変わるようなどんでん返し、これよ~これこれ!『鳩啼時計』『ハイネックの女』妖しくゾクゾクする読み心地…からのニャンパラリ!な着地に快感。『幽霊屋敷』『おれの死体を探せ』私立探偵もの、ホラーであり推理小説でありSFっていうあまりみないかたちの話。シリーズらしい、他も読みたい!スケベ表現のやり過ぎ感が胸焼けするけど(笑)
2024/04/10
ぜんこう
トランプ大統領のおかげで脚光を浴びた表題作「アメリカの壁」をはじめとした1977年、1978年に書かれたバラエティに富む短編を集めた1冊。「眠りと旅と夢」「鳩啼時計」「幽霊屋敷」「おれの死体を探せ」「ハイネックの女」 どの話も面白かったです。 特に「眠りと旅と夢」の最後はほんま驚いた…この世界ていったい現実なのか夢なのか・・・
2018/04/24
そうたそ
★★☆☆☆ 作中に登場する大統領がトランプ大統領を思わせるという話題から、久々に浮上してきた作品。正直なところ、小松左京がアメリカの未来を予言していたというのはさすがに誇大広告であり、むしろ本作の魅力は著者がアメリカという国の本質をSFという形を借りて描いた部分にあるのではないかと。その他収録作についていえば、どれもあまり好みでなかったが、ラストの「ハイネックの女」はゾクゾクするような和製ホラーの香りをも漂う秀作でこれは素晴らしい。全般的にSFっぽさが少ない、ジャンル的にバラエティに富んだ作品集である。
2019/02/03
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