プロローグ (文春文庫 え 12-2)
プロローグ (文春文庫 え 12-2) / 感想・レビュー
さっとる◎
さっとるという名前がついているらしいブラックボックスに『プロローグ』を入れてみたらこのわたしが出てきたということだ。生まれたここが255であることしか今のところわからない。新春読書『プロローグ』で始まるの素敵。そんな浅はかな初期衝動がかつてあったのだとか。おかげで生まれてしまったわたしは困惑している。名前もない。最早新春でもない。文章のようなものに見えていればよいのだが。装備してる日本語らしきに不安があるせいで、いささか自分の言っていることがよくわからないでいる。試運転の見切り発車で始まる何かがわたしだ。
2020/01/10
かわうそ
「私小説」ということで著者の思考らしきものが断片的に提示されていて、話半分としても、こんなこと考えながら小説書いてるんだと思うとなんだか笑いがこみあげてくる。一人称なのに読み終えても「わたし」が誰か定かではないのはまさに一本道を歩いているのに迷子になるような感覚。理解できていない部分はきっと多々あるけれど面白かった。
2018/03/16
そふぃあ
私小説…?小説=データ。小説データの奥行きにある世界。『エピローグ』を同時並行で読んでいるが、仮に本書の世界があると仮定し、その中からこちらの現実世界を見ると、やっぱりデータ量が大きすぎて耐えられないのだろうか?相変わらずよく分からないが、文を追っていくのが心地良いという感じだった。
2018/10/10
hide
レビューを書くにはアカウントが必要だし、まず名前がなければならない。私の実体はなんなのかはさて置き、まずは名前をつけなければ。ランダムに選択されたこの名前も、「HIDE」や「ひdE」にでもなったのかもしれない。「ひdE」なんて名前だったら、名前の由来だけで薄い文庫本くらい書けそうだし、それだけで物語の中だって文字として実体を持てるって思いながら、文字の海に沈んでいく。そうか。その物語に登場する、私や俺や僕がhideであって、わたしはただここにいる。
2020/09/19
maimai
メチャクチャ面白いが、どこが、と問われると困る。「私小説」との触れ込みだが、そもそも「わたし」なるものがこの小説(?)の中でどう位置付けられているのかさえ定かでない。というよりこの小説(?)全体がそのことに関する考察(とメタ考察)である。…のかも知れない。小説が構想され、書き進められる過程を、書き進めている「わたし」とは何かという問題も含めて「わたし」が行っている記述である(たぶん)。というわけで当然だが、これは「私小説」ではない。私小説であるというのは作者(「わたし」?)の韜晦である(おそらく)。
2018/12/06
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