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ある町の高い煙突 (文春文庫 に 1-45)

ある町の高い煙突 (文春文庫 に 1-45)

ある町の高い煙突 (文春文庫 に 1-45)

作家
新田次郎
出版社
文藝春秋
発売日
2018-03-09
ISBN
9784167910365
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ある町の高い煙突 (文春文庫 に 1-45) / 感想・レビュー

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chimako

書かれたのは50年以上前。そこにはついこの前まで当たり前だった村の暮らしや人と人との繋り、無私の働き、利益だけを考えない経営者の想いがある。舞台は茨城県日立市。外国人技師オールセンとの出会いが関根三郎の人生の分岐点となる。資産家 関根本家の養子の三郎はオールセンと話したことで外交官の夢を持つ。だが日立鉱山の煙害問題がその夢の実現を阻み、三郎は煙害に精一杯立ち向かう。オールセンが残した「いかなる時も勇気(カレッジ)と忍耐(ペイシャンス)を持って」と言う言葉を胸に。一昔前、日本人はかくも気高く清廉だった。

2019/06/18

大阪魂

新田さん+煙突ゆーから煙突登る話?ておもて読んだらぜんぜん違うかった!日立製作所の元会社が明治時代に日立に銅の精錬所つくらはったときに、まわりの農村とか山林とかが排煙で自然破壊されてしもてんけど、近くの入四間村の青年・関根三郎が東大あきらめて煙害対策に取り組み、当時の社長の木原吉之助、煙害対策係長の加屋淳平たちと対立しながらも結局タッグくんで当時世界一高い大煙突の建設を実現、煙害問題を解決したってお話!これに三郎の恋物語も絡んでまたまた楽しませてもろた!せっかくの加屋千穂さんの影が薄かったんだけが残念💦

2022/12/14

TATA

企業CSRを問う作品。主人公は明治から大正にかけての日立の銅鉱山での煙害に立ち向かう住民代表。時代はまさに大正デモクラシー、足尾や別子銅山での公害が社会問題になっていた頃。通常この手の作品だと悪徳企業に立ち向かう住民という構図のはずだけど、この作品では企業側に理解者もいて、手を携えてともに克服していこうという流れ。その分、ツラい気持ちにならず心地よく読めました。読後感はスッキリ。昨年映画化。

2020/05/11

kana

日鉱記念館訪問の下準備として手に取りましたがおもしろくてびっくりです。企業の社会的責任や公害問題の恐ろしさや対話の大切さなどたくさんの学びがあることに加え、巧みな人物描写・プロットによる読み応えもばっちりのすばらしい作品です。新田次郎さんの本は初めてでしたが他の代表作も読んでみたくなる。村の自然が目に見えて破壊される描写は何よりホラーだし、東大合格レベルの頭脳を持ちながら一生を村の煙害対策に尽くす三郎青年が企業との対話によって切り開いた未来が、夢物語でなくノンフィクションで現在につながってることに感動。

2022/03/13

たぬ

☆4 そもそもの話として有害なのがこれだけはっきりしているのになぜ稼働し続けるんだ? 現代なら即刻操業停止よね。まあ今と明治末期~大正初期は事情が違うんだろうけど。三郎は若いけど冷静で頼りがいがあるリーダーだなあ。三郎の想い人の不幸に赤飯を炊く等ゴリゴリの「家柄第一」なばあさんによくキレなかったなあ。半世紀後を描いたラストも良かった。

2021/09/27

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