名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫 な 58-6)
名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫 な 58-6) / 感想・レビュー
ハイランド
お馴染み中野節による名画解説。この本には死の匂いが漂う絵が多く掲載されている。表紙の幼い兄弟は、実の叔父の陰謀により暗い塔に幽閉され、やがて来る暗殺者の影におびえ、美しい顔に絶望の影を帯びている。だが果たして叔父リチャード三世は、幽閉した真犯人だったのか。筆者は疑問を投げかける。「絵を見れば歴史はもっともっと面白くなる」西洋史は筆者の専門ジャンルなのだった。絵画が歴史への興味を誘うのか、歴史が絵画鑑賞の眼をより深く見せるのか。中高時代に中野氏の著書を読んでいれば、もう少し世界史に興味を持てたのだろうか。
2019/09/08
るぴん
やはり中野京子さんの絵画解説はとても面白くて、興味をそそられる。スーラの作品は点描にばかり圧倒されて、傘や連れている猿の意味を知らなかった。オランダ人は「眼の人」で、ドイツ人は「耳の人」というのも納得。1番興味深く読んだのは、表紙にもなっているドラローシュの「ロンドン塔の王子たち」。兄王子の虚ろな眼差し、弟王子の怯えた瞳、吠える犬、ドアの向こうにいる侵入者。1枚の絵に込められた物語性が凄い。これを読んで『時の娘』がまた読みたくなったので、再読しよう。
2018/03/14
トムトム
歴史を知らないので、史実の部分が大変面白い!当時の人たちの考え方や風俗などを絵画で視覚化できて、2度おいしい本です。
2020/10/08
青蓮
フェルメール、ラファエロ、ゴヤ、ブリューゲル…。時代を代表する画家たちが残した名画の数々。その絵画をもとに、画家達の意図やその時代の歴史を紐解いていく、絵画エッセイシリーズ第3弾。中野節が冴え渡っています。美術史と世界史へのハードルを低く感じられ、読んでて楽しいですね。大好きなシリーズの一つです。まだ観たことのない名画を観に行きたくなります。
2018/05/04
たまきら
この人のシリーズでいいなあ、と思うのは、意外と現在は評価が薄いけれど、当時は大変評価された「名画」が取り上げられているところでしょうか。その時代に精通しているから、そして様々なシンボリズムに気づくことができるから、にやりとできる世界がある。そしてぞっとすることがある。細やかで、わかりやすい説明も素敵。高校生の頃ぼんやりと前を通り過ぎていたなあ、この絵…なんて思い出しつつ。
2019/12/26
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