ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (文春文庫 む 5-15)
ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (文春文庫 む 5-15) / 感想・レビュー
buchipanda3
紀行エッセイ。アイスランドやフィンランドなどの光景やふとした出来事が村上さんの嗜好フィルターを通して語られる。それがまた細かいこだわりがあって、ちょっと独特な描写なのだけれど不思議と親しみやすさも感じた。動物(羊に馬に猫、パフィンに鯨、くまモン?!)や食事ネタが多いからかも。著者ゆかりの地を再訪した話も幾つかあり、ギリシャの島は著者にとって結構思い入れがありそうで、淡々と気取った感じながらもどこかむずがゆさがあった。年齢を経てそういう振り返りの旅もしてみたい。どの場所でも著者のマイペースさが感じられた。
2021/01/03
ぶち
【秋なので今月も旅の本月間】 本文にあった村上さんの言葉「旅先から持ち帰ったものは、いくつかの光景の記憶だけだ。その風景には匂いがあり、音があり、肌触りがある。そこには特別な光があり、特別な風が吹いている。そのときの心の震えが思い出せる。それがただの写真とは違うところだ」。この紀行文集は、村上さんからまさにそんな旅の思い出(=記憶)の作り方を教えてもらっているような一冊でした。そして、ボストンとポートランド(メイン州の方)のお話では、そこの匂い、音、肌触りを思い出しました。また、訪れたいです。
2022/10/16
chantal(シャンタール)
村上さんの紀行文はすごく綺麗な風景写真があるわけではないけれど、村上さんが見ているものを一緒に見ている気にさせてしまう、そんな魔力がある。大好きなエッセイ「遠い太鼓」の舞台のギリシャの島への来訪や、未知の国ラオスの仏教都市の話。レッドソックスを中心に世界が回ってるようなボストンの日常。ほんとに今すぐにでも飛行機に乗りたい気分。熊本紀行も良かったなあ。復興は進んだのかな?無料でくまモン使用していいとか、熊本県、太っ腹だよ。15年当時に書かれたものに「神奈川県民の自分」とあったことに驚く。
2020/11/15
tokko
「さて、いったい何がラオスにあるというのか?…でもそんなことを訊かれても、僕には答えようがない。だって、その何かを探すために、これからラオスまで行こうとしている訳なのだから。それがそもそも、旅行というものではないか。」この部分、よくわかります。何のために行くのかよくわからない、なぜ行きたくなったのかよくわからない。その理由を知りたいからとにかく行ってみた、というのが実情なのではないかと(ひそかに)僕も思っていました。まぁ村上さんほどワールドワイドではないし、頻度も少ないんですけどね。
2018/04/24
ふう
単行本が出たときから気になっていたタイトル。たくさんの旅行記の中からこのタイトルを選んだのは、後書きにもあるように、自分の予想を超えたものに出合える感動が「旅」だからですね。あまり斜に構えず、あまりこだわらず、偶然のもたらすプラスもマイナスも淡々と受け入れるところはいつもながらの村上氏。アイスランドの章では「湿地」などの作品を思い出しながら、フィンランドの章では以前訪れたときの印象を思い出しながら読みました。そしてラオスの章では行ってみたいと思いながら…。
2018/04/30
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