山本周五郎名品館III 寒橋(さむさばし) (文春文庫 や 69-3 山本周五郎名品館 3)
山本周五郎名品館III 寒橋(さむさばし) (文春文庫 や 69-3 山本周五郎名品館 3) / 感想・レビュー
KAZOO
沢木さんによる山本周五郎短編作品の第3冊目です。今回は義理人情に焦点を当てた作品が9編収められています。私も結構短篇も読んだつもりでいたのですが、この作品すべて未読でした。最初の「落ち梅記」、表題作の「寒橋」、「茶摘は八十八夜から始まる」が印象に残りました。結構ほろりとさせる作品です。あと1冊を残すのみとなりましたが楽しみです。何回も読みなおすことになりそうな作品集です。
2018/07/01
キムチ
巻末で沢木氏が山本氏の「情の世界」のすごみを熱く語る・・自らの父の思い出や来し方も絡ませて。しかし、山本氏の作品で「情」の水脈が無いモノってないと思うが。子供向けのユーモア小説ですら・・ある。とは言えこの集はその中でも傑作を揃え、読み手を唸らせる。「人情長屋」「かあちゃん」「釣忍」は有名どころだが。「落ち梅記」の由利江の思惑はむしろ嫌な感じ・・自分がこの人を変えて見せるって。。一つ間違えば思い上がりにも通じる「寒橋」しみじみ余韻に浸る・・おたみの腹の子の父は○○だと思うけどね・・まぁ、邪推は自由だし。
2022/10/31
ぶんこ
実母の実家が小田原町であり、沢木さんの本籍地でもあると知ってなんだか嬉しくなりました。「寒橋」があった辺りも解説に書かれていたので行ってみたいです。「情」シリーズの9編で、数編は読んだ事がありましたが、表題作始め「人情裏長屋」の信兵衛さんが赤ちゃんの為に人が変わったようになるのにほっこり。「なんの花か薫る」は最後の最後に驚く結末が待っていて、唯一哀しくなった作品でした。
2019/03/24
kawa
善人が悪人に、悪人が善人に。ちょっとした縁と情で人は変わる。人間の不思議さ、怖さ、哀しさ、愛しさがてんこ盛りの短編集。ラストの「釣忍」(つりしのぶ)が印象的。
2021/12/14
島の猫
一つ一つで感想を書きたくなってくる。そしてどう思った??と聞きたくなってしまう。小気味の良い展開とリズムがクセになる、山本周五郎の短編集。Ⅰでは女の美しさ、Ⅱでは意地を通したものたち、Ⅲは「情」。真面目に生きると損をする。もっと上手に生きた方が成功できる。そんな圧力のなか、それでも真面目に行きることで得られるものは成功以上のものだ。切り口によって感じ方が違うのだろう。「なんの花か薫る」はめっちゃ叩かれそうだけど、侍の対応はKYだけど決断は彼の立場に立ってみたら至極真っ当なのだろうと思う。
2023/02/23
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