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ママがやった (文春文庫 い 67-5)

ママがやった (文春文庫 い 67-5)

ママがやった (文春文庫 い 67-5)

作家
井上荒野
出版社
文藝春秋
発売日
2019-01-04
ISBN
9784167912062
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ママがやった (文春文庫 い 67-5) / 感想・レビュー

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ミカママ

タイトル通り、79歳の母親が72歳の父親を殺す、というショッキングな冒頭。金婚式も迎えた老夫婦の歴史を、彼らと三人の子どもたちの視点から、時を行き来しつつ物語は展開していく。人物描写やふとしたセリフに独特のひねりが効いており、思いがけず読まされた。角田光代さんいわく、荒野さん作品の魅力は「言葉で書かれていないこと」だそうだが、それが心にストンと落ちる作品でもあった。秀作。

2021/02/15

ケンイチミズバ

不穏なタイトル。父が亡くなった時、母は「清々した。自由が来た。」と口にした。そんなもんかとも思った。私自身も悲しいとか何ともなかったし。粗暴で教養がなく、中学くらいで既にこの人バカだと思っていた。これから宅配の時代に長距離の運送会社を起業して当たり前に倒産。父さん倒産というクソマヌケな冗談に苦笑し死ねお前と言い返した。懐かしい。全くストーリーと関係ありません。母親も姉たちもあまりにあっけらかんとしてて、自分の母親と同じ匂いを感じた。濡れタオルと枕で、たぶんこんな感じの最後が何ともお似合いな父親って納得。

2019/01/15

★Masako★

★★★ タイトルと帯から、ミステリーだと思って読んだのだが…79歳の母が72歳の父を殺したところから物語は始まる。「本当に死ぬとは思わなかったの」殺しても淡々としている母、その死を隠そうとする子供たち。どこかおかしい家族。2章目からは子供たちや母の視点で過去や現在が淡々と語られる。浮かび上がってくるのは、女癖が悪く自分勝手な父の姿、父母の影響を強く受けて育った子供たちの複雑な思い。結局何故母が父を殺したのかは明らかにされない。だが、何となく納得させられる不思議な読後感の作品だ。

2019/02/05

ゆのん

79歳の母親が72歳の父親を殺した。『ママがやった』はそんな始まり方だ。母親と3人の子供達は筍御飯を食べながら通報するか隠蔽するか話し合う。普通じゃない…と思う。続く話も妊娠中絶や不純異性交遊、ねじれた恋愛、隠し事の発覚など現在や過去を経由し家族の絆と愛憎を描いている。シュールさとユーモア、ミステリアスに溢れた一冊。普通じゃないと思っていたが、だったら何が普通なのだろう?とふと考えてしまう。

2022/08/08

雲隠れひろ吉

この真っ赤な表紙とタイトルに惹かれて購入。初読みの井上荒野先生でした。帯の"とてつもない傑作"までには読解力足らずでしたが、不条理で面白い作品でした。人としてダメな父親をはじめ、他の家族ひとりひとりにも裏切られるような気持ちを抱きました。背負っている過去によって生まれてきた感情なのか…。穏やかに流れる日々の中に潜む、奇怪な日常。薄気味悪さを漂わせる家族。ラストはこのお話にはピッタリなのかな。「コネティカットの分譲霊園」のお話が好きです。

2019/03/09

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