西洋菓子店プティ・フール (文春文庫 ち 8-2)
西洋菓子店プティ・フール (文春文庫 ち 8-2) / 感想・レビュー
さてさて
『私の夢は観客ではなく、じいちゃんのように優秀な裏方になることだった。パティシエではなく菓子職人』。そんな思いの先に『菓子作り』の日々を送る主人公の亜樹。『東京下町の』『洋菓子屋「プティ・フール」』を舞台に描かれていくこの作品にはそんな亜樹と関わる人たちのそれぞれの苦悩が描かれていました。”食”の細やかな表現に、千早茜さんのこだわりを感じるこの作品。”食”を取り上げた作品なのに、その重さに驚くこの作品。『西洋菓子』に隠されたそれぞれの個性の中に、人が抱える欲望と秘密を上手く重ね合わせた、そんな作品でした。
2024/05/06
machi☺︎︎゛
パティシエの亜樹は祖父のお店、プティ•フールで働く。定番のいちごショートやシュークリームや本格的な洋菓子など甘くて美味しそうなお菓子がたくさん出てくるが話の内容はずっしりと重ため。亜樹の友達や恋人、仕事仲間、それぞれが抱える事情や悩み。亜樹の鈍くて頑固な性格もあり上手くいかない事も多いがやっぱり甘い物は人を幸せにする。巻末のパティシエの人と千早茜さんの対談も良かった。
2021/04/28
ゆいまある
洋菓子店を舞台にした連続短編集。以前読んだ「男ともだち」で、千早さんとはお菓子の趣味が合いそうだと期待して。予想違わず主人公はフランス帰りで、酒やスパイスをギリギリまで使う攻めてる菓子職人。舞台こそ祖父の古いケーキ店だが、すれ違う恋愛模様や秘密の恋など千早茜らしく、全く甘くない。タイトルや表紙から癒し系を予想してたので嬉しいギャップ。苦いし酸っぱい。お菓子にかける情熱も熱い。お菓子卸してる紅茶専門店でクレープシュゼット出すとか、熱すぎるし拘り過ぎ。こんな風に薀蓄を聞きながらケーキを食べてみたいなあ。
2020/08/16
アッシュ姉
下町の洋菓子店を舞台にした連作短編集。甘いだけでなく酸味や苦味の効いた群像劇で面白かった。甘いものが苦手なわたしは人生損してると感じるほど、お菓子への愛がたくさん詰まっている。巻末の対談も興味深く、千早さんが一層好きになった。
2021/11/24
クプクプ
千早茜さんの本は初めて読みました。文章が適度に尖っていて、情熱的でフレッシュな作家だと感じました。西洋菓子の作り方の描写は映像が浮かんでくるようでした。主人公の女性と西洋菓子店を経営する、おじいちゃんと、主人公の婚約者との三人の人間模様が、よく描けていました。ネイルサロンの話も、絶妙にリアルで、この本はむしろ男性が読むと、女性の生活が少しわかると感じました。千早茜さんの他の本も、ぜひ読みたいと思いました。
2022/08/27
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