ローマへ行こう (文春文庫 あ 2-27)
ローマへ行こう (文春文庫 あ 2-27) / 感想・レビュー
KAZOO
阿刀田さんの久しぶりの文庫版短篇集です。もう900を超える短編を書かれているようで星さんのショートショートと並ぶ勢いですね。ただやはり切れがなくなったというのかあるいはかどが取れてきて作品の印象が薄くなってきた感じがします。最初の頃のブラックさがなつかしい気持ちです。ただ作品のなかで印象に残るものがありました。国文学の話が中心の「めぐりあいて」です。源氏物語の話など楽しくなりました。
2019/03/26
優希
タイトルからエッセイかと思ったのですが、短編集でした。ブラックユーモア的作品は少なく、迷路に迷い込んだようなあやふやな空気を感じます。フワフワした生ぬるさがありつつも読ませてしまうのは、阿刀田さんだからですね。
2020/07/08
nemuro
“しりとり読書”の38冊目。1カ月余りを要しての読了。自分が買ったはずの本の中から意外な掘り出し物に出合える反面、しっかり選択しなくては並行して読んでいる多くの本に埋没してしまうこともあるなぁ。などと思いつつ39冊目には、神楽坂淳の『うちの旦那が甘ちゃんで』を選んでみたところ。まあ、あーだこーだと言いながら引き続き気楽に楽しんでいる“しりとり読書”である。さて本書。帯に「心の封印を解きたい大人のための短編集」とあって10編。短編小説の名手・阿刀田高の<奇妙な味>が垣間見られた気もするが物足りなくもあった。
2020/12/04
きなこ
10編の短編集。若い頃阿刀田さんの作品が好きで読んでいた時期があり、新作が書店に並んでいるのを見つけて久々に手に取りました。怪しげな雰囲気は阿刀田さん!ブラックユーモア的なお話しは少なくて、ちょっとあやふやな、迷宮に誘い込まれそうな作品が多かったような。表題作の『ローマへ行こう』が昔好きだった阿刀田作品に近かったかな。著者によると、短編の面白さとは〝書かない部分の味わいが用意されている〟〝長編に比べ、だましが入れやすく、それだけ冒険もでき空想も飛翔させられる〟ところ、とのこと。確かに。
2020/03/02
つーこ
なんとも不思議な世界の短編集。ポーの話や紫式部の話など阿刀田さんの文学に対する見識の深さが知れる興味深いものもあり。ただ、不思議な世界だが奇妙とかブラックと呼べる程ではなく、なんとなくモチャっとしたラストが多いのが気になる。表題の『ローマへ行こう』という言葉も、もっとポップなイメージだったのに、こんなザラッとしたものだったなんて。
2020/06/19
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