祐介・字慰 (文春文庫 お 76-1)
祐介・字慰 (文春文庫 お 76-1) / 感想・レビュー
hitomi.s
想像力はあった。こうなりたい。こうありたい。こんなふうなはず。こんなはずじゃない。だから今は違う。今の、この自分であるわけがない。でも、自分であることもわかっている。いま、が、自分に由来するなんてわかってる。そんな、どこにもぶつけられないモヤモヤした塊は、涼しい顔したまま持ちきれるものじゃない。何かや誰かに救って貰えると思った。でも、何かや誰かを探すのも自分だ。自分を知ることは、想像することと相反するか。意外と悪くないよ。明日のごはん考えてそうぞうすることも。
2019/06/13
olive
看板に偽りなし!尾崎世界観にしか書けない世界観でした。夏の図書館に涼みにやってきた、いつからお風呂入ってないの?すえた匂いを放つのに誰も出て行ってくれとは言えないおじさんのような一冊でした。静寂した闇に誰も止められない疾走感というやつでしょうか。で、最後にあんなことになろうとはー!現実の自分ともう一人の自分。きっと売れっ子になった今でも対話してるんでしょうね。最後に、多くの比喩が使われてたので私も比喩返しで(←ヘタクソな返しで失礼しました(;^ω^))
2019/11/30
ちぇけら
ギターをかき鳴らし、それでも足りなかった。血は流れつづけるし、不快なにおいは消えないや。こなすだけのセックス、物事は装置。いつも俺は苛立って勃ってやってそしてバカばっかなんだって。何の為、何の為、何の為、何の為、諦めないんだっけ俺。何が欲しい、何が欲しい、何が欲しい、何が欲しいんだろ。でも歌うしかないんだよ、もう音楽は止まらないんだよ、「僕達、間違ってませんよね?」嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌いと言えたらよかったのになあ。バンドで歌うこと、誰かとつながりたいと思うこと、そんな自分のこと。そんな世界のこと。
2019/07/19
ケー
表題作の「祐介」より、そのスピンオフ的位置づけとして作られた書き下ろしの「字慰」のほうが実は好みだったりする。見方によっては一瞬純愛にも錯覚してしまいそうになる主人公に粘着的な愛。その一人語りが不気味なはずなのに小学生という立場もあって妙に清々しさも感じる奇妙な作品。一方「祐介」はいかにもクリープハイプっぽいというか、歌詞を小説というフィールドで再現してみたという印象を終始受けた。ちょいちょい分かりにくいノリというか文体があったけれど、最後の村田沙耶香さんの解説のおかげでなんとか納得。
2020/05/06
来未
全く売れないバンドマン祐介… バイト先やバンド仲間とのこと、バンドの継続について様々な出来事の中、感情が入り乱れていき、祐介が心配になるほど。第二話の字慰はまさしく、タイトル通りだなと感じた。 二話とも物語の良さを感じられなかった。再読の機会があれば、また違った感想が生まれるかもしれない。
2024/02/24
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