明治乙女物語 (文春文庫 た 103-1)
明治乙女物語 (文春文庫 た 103-1) / 感想・レビュー
aoringo
明治鹿鳴館時代。高等師範学校の女子学生たちの青春を切り取った物語。教師を目指す彼女たちは当時からみて特権階級なのだろうけど、それでも貧困や偏見、差別が横行する明治時代の大転換期の危うい世の中を自分らしく生きている姿に好感がもてた。爆発事件を追い一人の車夫の男の過去をさかのぼっていくミステリーでもあるのだけど、当時の風俗や時代背景を窺い知ることができて興味深かった。時代物にしてはとても読みやすく面白かったです。
2020/07/18
goro@80.7
先日広瀬すず主演のドラマを見ていたので、なんだか物語の主人公たちの顔がダブったけど、強く生きようとした女性達の切なさや潔さを絡めて鮮やかな物語でした。松本清張賞受賞作だけどミステリー要素より変革してゆく時代に翻弄された若者たちの苦悩を感じてしまったが、高等師範学校生の咲が友である夏に掛けた言葉に新たな時代へ向かう覚悟が泣ける。爆裂弾に狙われた鹿鳴館の舞踏会へ向かう彼女達に投げかける舎監フタ婆と言われた山川双葉の言葉も胸を打つ。文明開化の礎となった乙女の物語、堪能いたしました。佳品。
2022/04/17
佐島楓
題名がせっかくの魅力を削いでしまっているような……。わかりやすいのはいいのですが、私だったら躍動感のあるタイトルを考えるかな。
2019/06/13
ヨーイチ
この人は初読み。賞をとっているらしい。大学で歴史を専攻とある。鹿鳴館時代物って分類を今思いついた。明治初期の「足掻き」と侘しき華やかさ(かつて三島由紀夫が越路吹雪を西洋的豪華さとお茶漬けの侘しさって評したことを思い出した)、理想を掲げても蟷螂の斧、英雄の残香、などなど。ワクワクしてきた。知っている範囲で言うと松井今朝子が少々扱っていた。主人公咲のスーパーレディ振りと相方の夏のワトソン振りはこれはこれで楽しいが少し軽過ぎかな。続く
2020/12/30
のびすけ
高等師範学校女子部に学ぶ咲と夏の青春物語。鹿鳴館時代の華やかだけど混沌とした世相を背景に、新しい時代を生きる女学生たちがとても魅力的に描かれる。それと並行して、彼女たちが爆発事件に巻き込まれるサスペンス。実在の人物や史実を織り交ぜ、この時代の光と影が交錯するストーリーに引き込まれた。充実の読み応えで面白かった!表紙の咲と夏がとても素敵。
2023/07/17
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