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私の消滅 (文春文庫 な 69-3)

私の消滅 (文春文庫 な 69-3)

私の消滅 (文春文庫 な 69-3)

作家
中村文則
出版社
文藝春秋
発売日
2019-07-10
ISBN
9784167913083
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私の消滅 (文春文庫 な 69-3) / 感想・レビュー

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美紀ちゃん

闇の部分がうまく書かれていると思った。 悪意とかではなく、産まれた環境などからくる、自然に湧き上がる歪んだ気持ち。 洗脳、恐ろしい。 拷問だと思う。 自分の中の気持ち悪い部分が、妹を崖から落としたり、母親に怪我をさせたりした。 施設に送られたが、治っていない。 医師に引き取られ精神科医になるが向いていなかった。 そこで、ゆかりさんに出会う。 しかし、ゆかりさんは自殺してしまう。 人間とは何か? この世界とは何か? 電気治療でサイコパスが治るとは思わない。 壊れた人格に恐ろしさを感じた。

2022/01/13

hit4papa

不幸な生い立ちの男の陰々滅々な手記です。読み進めるうちに主人公が誰なのか見失ってしまう「主人公の消滅」な作品。死んだ恋人のための復讐譚なのか、男のトラウマ話しなのか、さらっと読むとわけわからんになるので、精読すべし。結局何の話?って言うとネタバレになってしまいます。冒頭、手記を書く男の傍らにある怪しげなトランクの中が、気になりつつラストまで。純文学的な現実崩壊感が甚だしい上に、ミステリ的な展開で話が進む。どんよりと暗い印象が残るものの、物語の細部となると思い起こすのが困難です。ラストにタイトルの意味判明。

2020/09/14

速読おやじ

久しぶりの中村文則。のっけから入れ替わりを示唆するような冒頭シーン。まるで映画を観ているかのように頁を捲る手が止まらない。精神科医による洗脳をリアリティたっぷりに描くのだが、それだけだと単なるホラーになってしまう。そこに潜む人の狂気が凄まじい。記憶を消去して、別の記憶を埋め込む。そんなストーリーもこれまで数多ある。使い古された道具なのだが、凄い衝撃だった。タイトルの私の消滅の裏側が凄い。

2021/12/16

南雲吾朗

人間の内面を抉る様な文書。虚構と現実の境界が徐々に曖昧になっていくような読書感。中村文則氏は一貫して人間の悪意について書き続けている。今回は、平たく言えば復讐劇である。精神科医師が主人公である。催眠、刷り込み、これがどれほど現実の事なのか判断しかねるが、面白い。洗脳を繰り返され、読んでいくうちにどの人物が、誰なのか混乱してくる。読んでいる自分まで、登場人物と同じ思考に支配されてくる。昭和、平成に起こった猟奇的殺人事件の分析も絡んでくる。宮崎勤の分析も、まるで本当のように思えてくる。面白い本であった。

2019/11/28

路地

中村さんの作品らしく性と死を絡めたミステリーな本作の主題は洗脳。場面展開が最小限で、もし映像化されたら面白い映画になりそう。洗脳により登場人物が入れ替わってしまうようなトリックに途中混乱させられつつも、少々おせっかいと言えそうなほどの丁寧な説明によりモヤモヤすることものなく読み終えることができた。後書きにある対になる作品について、ネットでは「あなたが消えた夜に」との情報があったので、さっそく読んでみようと思う。

2022/08/25

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