デブを捨てに (文春文庫 ひ 29-1)
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デブを捨てに (文春文庫 ひ 29-1) / 感想・レビュー
かみぶくろ
汚くて醜くてなんならちょっと臭さすら漂ってくるのに、なんかもう目が離せなくて本当に面白い。タイトルそのまんまデブを捨てにいく「デブを捨てに」含む四短編だが、いずれも最底辺で生きる人々をなんの憐れみも衒いもなくカラッとした感じで描き出していて、独特のユーモアはもちろん、妙ちくりんな気高さ、美しさすら感じてしまうから油断ならない。世間や社会を怒りをもって突き放したような書き様がとても清々しく、この作家にしかない素晴らしい個性だと思う。
2019/07/27
H!deking
やっぱり最高でした。神作品認定!
2019/08/11
masa
たとえば糞に金が埋まっていると聞いても躊躇するのが凡人の人生で、すぐさまなりふり構わずに素手で掘り起こすのが平山の物語だ。しかも金入りの糞だからと糞自体に付加価値を見出すような糞で詐欺まがいなことはしない。あくまで金入りでも糞は糞、糞まみれでも金は金だと醜さと美しさの混在をきちんと認めて分別する。理路整然とした無秩序。これは簡単なようで難しい。そして酷くカッコいい。だから平山は模倣される。だけど模倣された平山っぽい何かはマズすぎて見ていられないのだ。二番煎じこそ糞だ。狼を真似る豚は死ね、デブな狼は生きろ。
2021/05/22
aki☆
クズ男ばかり登場するブラックな4編の短編集。よくぞここまで最悪なストーリーを…と思わなくも無いけどこの感じ癖になりそう笑。一番良かった(?)のは表題作。タイトルそのままデブを捨てに行く話で、道中のトラブルでは何度顔を顰め引き攣らされた事か。殴られ蹴られ殺されかけるグロに加えゲロまみれ。エログロならぬゲログロには引いたけど結末が気になる面白さだった。どんだけデブデブ言う気だ!と突っ込みつつ満足な結末に思わずニンマリ。
2023/08/30
スカラベ
ただただグロい頃に比べれば平山夢明も柔らかくなってきたなぁって気がする。強烈なタイトルの本書は世の中のはぐれ者に焦点をあてた4編を収録。登場人物は下衆の極みともいえるどうしようもないダメ人間ばかり。そもそも平山小説で清廉潔白な人間が主人公なんてみたことないような気がするが。表題作はまさにデブを捨てに行く話。ついつい残虐な過程と最悪な結末を予想してしまうが、クソ豚野郎ラーメンの大食い挑戦などなんだか珍道中。グロいのに物足りない人もいるかもしれないが、グロはないけどゲロはあるのでそこんとこ夜露死苦!みたいな。
2019/08/10
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