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壁の男 (文春文庫 ぬ 1-8)

壁の男 (文春文庫 ぬ 1-8)

壁の男 (文春文庫 ぬ 1-8)

作家
貫井徳郎
出版社
文藝春秋
発売日
2019-11-07
ISBN
9784167913786
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壁の男 (文春文庫 ぬ 1-8) / 感想・レビュー

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三代目 びあだいまおう

タイトルも、文庫裏の内容紹介も、私の興味センサーを微塵も刺激しない。大切な読友さんのレビューが目に飛び込み、それだけが私の興味を刺激した。結論は...大傑作!『誰が何のために壁に絵を描いているのか』という謎は早々に解明し、残る350頁で何を紡ぐのかと心配になる。第二章で描かれる家族の哀しき宿命に私の心は激しく痛んだ。力が抜け、崩れ落ちそうになる。人が己の内に隠そうとする過去の傷や劣等感。壁とはあるいはそれらの象徴なのか。男が壁に絵を描き続ける理由、最後に迎える真相に脳天を貫かれたのは私だけではない‼️🙇

2020/09/29

青乃108号

なんとも地味なタイトルに意味不明な装丁画。ある田舎に、町中が絵で覆われた不思議な場所がある、とSNSで話題になっているという。田舎町なのに絵のおかげで観光客が増えているらしい。描いているのはたった1人の男。しかも上手い絵ではない、子供の絵かと思われる程の下手くそな絵。町の家の壁やら塀やらに一心に描き続ける。何故男は絵を描き続けるのか。物語は時系列を行き来しながら、男の過去をじっくり語る。決して順風満帆ではなかった、その悲しい過去。そしてついに訪れる、ラストの1ページには心が震えた。しばらく動けなかった。

2023/10/31

アッシュ姉

民家の壁に大胆に描かれた奇妙な絵。子供の落書きのような絵が町中へ広がっている不思議な光景。なぜ彼は絵を描き続けるのか、なぜ人々は彼の絵に惹きつけられるのか。男の半生を紐解いていくことで明かされる。時系列と語り手を変えながら過去へ遡り、思いもよらない着地点へ辿りつく。エピローグを前にぷつんと終わった印象だが、疑問点はすべて氷解したので不満はない。完結と筆をおき倒れこむ作者の姿が浮かぶような終わりだった。静かな力作長篇。

2020/04/27

yumimiy

毒友さん…ありゃ💦、もとい!読友さんの感想に興味して読む。貫井氏といえば後味の悪さがネバ~と糸を引く2冊をを読んだが、本書は意外なハートフルなご馳走だった。だが、心温まるホットな話というより、貴方はその人のことを知ってはいるが、どこまで理解してますか?そう問われているような話。言われてみれば知人、上司、果ては親まで上っ面しか知らないような気がしてくる。逆に自分のことを深く理解している人はいるのだろうか、答えは無だろう。心の奥底を覗くカウンセラーでさえ無理なのよ。そんなことより伊刈さんの住む町へ行こうよ。

2023/11/26

りゅう☆

家の壁に稚拙な絵を描き続ける伊苅。町人はなぜ描いてもらうのか?ライター鈴木が伊苅を知る人物から伺うも明らかにならない…んだけど物語は伊苅の人生を追う。故郷に戻って一人で塾講師兼利屋をする伊苅。だが彼には幼き娘がいた。妻との出会いと別れ、美術教師だった母の才能に嫉妬する父。順風満帆でない人生の伊苅の過去を知るたびに不憫に思う。そして社会人時代に出会った友人夫婦との関係。色々なことがあったからこそラスト1行で絵を描き続ける理由に伊苅の心の温かさをみた。こんなミステリーもありなのねと貫井さんの構成力に脱帽です。

2022/03/14

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