漂う子 (文春文庫 ま 34-2)
漂う子 (文春文庫 ま 34-2) / 感想・レビュー
mint☆
ショッキングな内容だった。居所不明児童、虐待、棄児。令和の時代にこんな世界があるのという驚き。自分の無知さにも驚いた。初版は6年前の本なのに未だ何も解決していない。子供が生まれれば自然に親になれるなんて幻想なのかな。結婚したくない子供は堕してほしいと思っていた主人公はヘタレだと思っていたけれど、深く考えることができるからこそそう思った訳で、様々な状況の子供達に出会った後では、きっといい親になれるのではないかなと思った。考えさせられるいい本でした。
2022/10/20
エドワード
仕事の無いカメラマン・直は、小学校教師の恋人・祥子から妊娠を告げられる。子供は欲しくない一悩む直は、祥子から教え子・紗智が行方不明であることを知らされ、事故で入院した祥子に代わり、紗智を探しに名古屋へ赴く…。居所不明児童。いるべき場所にいない児童が日本中にいるという事実。名古屋で出会う様々な人々、育児放棄、虐待、売春まがいの実態、本当に驚きの連続だ。捜索の過程で直の家族観が変わっていく所がいい。子育ては本当に試行錯誤だ。直と祥子の幸せと、何よりも紗智の無事を祈らずにいられない。なかなか衝撃的な本だった。
2021/09/12
チアモン
「居所不明児童」と聞きなれない言葉がテーマだった。結構考えさせられる重たい内容だった。一番心に残ったのが「子どもを殺すのって、親を殺すのより、罪が軽いん?」という重たい言葉だった。命の重さってみんな平等じゃないの?今後も丸山さんの作品を追い続けたい。
2020/04/15
ジンベエ親分
本屋で何の気なしに手にとって買ってきた本だったが、とんだ拾いモノだった。彼女の教え子が失踪し、その捜索に協力することになった主人公が「居所不明児」という社会の闇と対峙する。この作中で語られる居所不明児の実態が胃に鉛を流し込まれるような重さで迫る。主人公の直が抱えている屈託がまた本柵のテーマにぴったりというか(そりゃ小説なんだから意図してのことだけど笑)、直の心境を祈るような気持ちで追った。最近、孫が産まれたばかりということもあって、心の奥深くに抱えている恐怖に深々と刺さる作品だった。続編希望。
2019/11/30
yoshiko
居所不明児童…知りませんでした。「デフ・ヴォイス」同様、埋もれてしまいがちな社会の闇をテーマにされていて考えさせられました。親の都合で振り回される子ども。今もどこかで漂っている子たちがいると思うと、胸が締め付けられます。この先も丸山作品を読んでいきたいと思います。
2020/02/23
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