愛の宿 (文春文庫 は 55-1)
愛の宿 (文春文庫 は 55-1) / 感想・レビュー
キンモクセイ
「もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければ...」土曜日の夜、京都のとあるラブホテルで起こる6編の男女の物語。ラブホテルという異空間的な場所で同じ日時にいた男女がある事件をきっかけに足止めに合う。〝嘘の宿〟10年以上も不倫関係なのは体が馴染んでしまっているから。「身体というやつは、下手をすれば心より厄介だ」〝悔の宿〟同窓会に出席したのは輝いていた同級生達が変わり果てていたから。この特殊な場で繰り広げられるドラマがとても現実的だった。きっと今日も何処かのホテルで男女のドラマが繰り広げられているのだろう。
2020/12/14
との
同じ日に同じラブホテルに泊まったカップルたちの物語。なんていうか、どのカップルにもちょっと陰がありますね。幸せな気持ちで泊まりたいものです。
2020/05/27
鶏豚
久々に毒気の強い本が読みたくなり、花房観音氏の短編集を購入。内容はとあるラブホテルで交錯する人々の物語。それほど官能的ではなく、読み易い印象。女性読者は子供の有無や既婚・未婚での意見の食い違いの描写は共感出来るのでは。普段、みんなが覆い隠している性愛について、花房氏は容赦なくさらけ出す描写力が魅力だが、本作はちょっと物足りない。短編だからか、背徳感や情念、人の持つ浅ましさみたいな内面をこれでもか、と抉る場面が物足りない。母と娘の交流「母の宿」は好み。(物語3.0/5点中)
2021/09/15
桜もち 太郎
「もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければどうなっていたのだろう」、ある夜、京都の繁華街にあるラブホテルで一人の女が死ぬ。その夜にこのホテルに泊まった男と女の物語。男と女の狂ったような情欲の夜。様々な関係があるようにそれぞれのセックスがある。それは否定されるものではない。ラブホテルは社会の縮図だ。最終章の「愛の宿」では「生の陰には死が存在するんだよ。ただ生は見えるけど、死は見えない。それだけの違い」と男が語る。そこには作者の生死感が見て取れる。死んでいった女のために男と女の本性が見え隠れする物語だった。
2020/11/14
風人
別に官能小説ではないなと、いつも思う花房さんを読むと、今回もそう、死体が発見されたラブホテルの男女の機微が書かれていて愛とか、恋がどうかと・・・。
2023/05/15
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