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鵜頭川村事件 (文春文庫 く 41-1)

鵜頭川村事件 (文春文庫 く 41-1)

鵜頭川村事件 (文春文庫 く 41-1)

作家
櫛木理宇
出版社
文藝春秋
発売日
2020-11-10
ISBN
9784167915452
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鵜頭川村事件 (文春文庫 く 41-1) / 感想・レビュー

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ナルピーチ

昭和の学生運動を下地とし“群集心理”によって引き起こされた恐怖の一夜を描いたパニックサスペンス。小さな山村に存在する2つの一族には格差が生じており、権力を持った側と使われる側に二分されてしまっていた。ある日、土砂崩れによって村が孤立してしまった事を切っ掛けに、村に住む若者達が“正義と革命の名のもとに”暴徒と化して荒れ狂う。その姿は怒りと暴力に支配されたまさに野獣…。あまりにもリアルで当時の日本では起こり得てもおかしくない気がした。妄想と現実の区別が付かないリアリティのある恐怖体験に読後の悪寒が止まらない。

2022/12/25

yoshida

昭和54年、水害で外界から途絶された僻地の村で騒乱事件が起きる。何時しか支配と被支配の構図となっていた村。家長主義で抑圧された若者達。学生運動に影響を受けた若者が扇動し、蓄積された鬱屈に火が点く。若者達による自警団は、ある夜に騒乱を起こす。上手く描かれたパニック小説と言おうか。特に支配と被支配により隔絶された人々の心理が巧みに描かれている。発端となった殺人事件の犯人は流石に予測不可だった。ある意味、家父長制が衰退する過程での階級闘争とも言えよう。櫛木理宇さんの作品は然程読んでいないが、非常に楽しめた。

2022/07/23

ヒデキ

外部と途絶した環境におかれた「村」を舞台に展開されるサスペンス劇 時代を遡るという手法もありですね。 主人公は、地方の農家の末っ子で生まれたが、集団就職で 出会った亡き妻の応援で医者となる 妻の墓参りで妻の実家へ訪ねた時に 村の騒動に巻き込まれていきます。 時代的に未来を考えることができた時代に むらに閉じ込められていった若者たちの葛藤が、あらぬ形ででていきます。 一気に読めた一冊で面白かった

2022/09/16

JKD

血縁だらけの小さな村を襲った豪雨災害のさなかで発生した殺人事件。ライフラインも絶たれ陸の孤島となった村人たちは見えない犯人と困窮していく生活の不安から次第に本性がむき出しになり、これまで村の中心的雇用主として支配きた矢萩家への不満も高まっていく。やがて若者たちは村の秩序を守るという名目で自警団を立ち上げ、打算的な大人への反感をあらわにしていく。仕事の上下間系、親族親子関係、男女関係が入り交じって慣れ親しんできたはずの村人たちが暴徒化していく恐怖。グロさというより強烈な不快感の連続攻撃だった。

2020/11/24

NADIA

昭和後期に旧弊の因習が色濃く残る地方で気象異常が引き金となって起こった事件。ヨコミゾ的な要素が多く、そういった展開を予想していたら全く違っていた。映像化に向いているストーリーだと思っていたら、やっぱりドラマ化されていたんだね(表紙画像の帯)。長さ的にも丁度良く、後年にWikiに掲載された事件概要の差し込みが効果的だ。

2023/03/19

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