ゴー・ホーム・クイックリー (文春文庫 な 82-1)
ゴー・ホーム・クイックリー (文春文庫 な 82-1) / 感想・レビュー
来未
敗戦した日本。進駐軍による占領下で行われた大日本帝国憲法の改正。新たな日本国憲法を作るために、GHQとのやり取りは壮絶としか言いようがなかった…骨子を作る為に尽力した佐藤達夫をはじめ、吉田茂総理、白洲次郎、金森国務大臣などの面々。これからの日本の為に言葉一つ一つを吟味し未来を見据え定められた憲法。改めて自分が暮らす日本の礎を築いた方々に敬意を表したい。スノードロップという花と憲法をだぶらせながら今後の憲法の移り変わりや発展を示唆しているようにも感じた。国民として先人達が築いた憲法をイチから読みたくなった。
2022/12/06
Kazuko Ohta
大人になったら憲法のことも勝手にわかるようになるのだと思っていました。大人になってからン十年、勉強せずに来たら何もわからないまま。自分の無知を暴露するようですが、日本国憲法は日本人が考えた憲法だと思っていたので、米国から差し出された原案を翻訳して作ったものだということに驚き、これはモキュメンタリーなのかと訝ったほどです。恥ずべき私の物知らずぶり。難しくて読むのが大変だったけど、知ってよかった。原案があったとはいえ、日本人が考え抜いたことには間違いありません。白洲次郎が佐藤達夫を抱きしめるシーンには私も涙。
2020/12/30
lily
敗戦後進駐したGHQから示された憲法草案に対し、法制局所属の佐藤達夫は諸々の事情からほぼ孤軍奮闘を強いられながらも、強い志で憲法を練り上げていく。条文の細かい文言のやり取りは、「これは小説ではなくノンフィクションでは?」と思わせるぐらい精緻なもの。自分の知っている日本国憲法の条文に少しずつ近づいていく流れが興味深かった。憲法がアメリカ本国のニューディーラーによって社会主義的性格の強いものになっていったこと、芦田修正論などは勉強になった。終戦記念日に程近いこの時期に、憲法を考える一冊が読めて良かった。
2023/08/12
BATTARIA
「日本政府とGHQの言葉を巡る息詰まる攻防」と帯に書いてあるけど、所詮は戦争に負けて国家主権を失った状態だけに、読んでいて虚しくなる。「重大なことを失った後で、ここで頑張ったところでそう得るところはなく、多少とも自主性をもってやったという自己欺瞞にすぎない」という宮沢俊義の言葉が全てだ。「後味はあまりよくありませんね」「後味なんて気にしている場合じゃないよ」というやり取りも、実に重たくのしかかる。天皇の存在が保たれたのは、マッカーサーがそうしようとしただけではないというのが、せめてもの救いだった。
2023/11/08
keisuke
最初から最後まで憲法の話とは。ドラマの「白洲次郎」では白洲がもっとバリバリやり合ってた印象やったけど、違ったんやな。面白かったけど、もうあまり小説ではなくなってきてるような。
2020/10/08
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