ミルク・アンド・ハニー (文春文庫 む 13-7)
ミルク・アンド・ハニー (文春文庫 む 13-7) / 感想・レビュー
あすなろ
寝しなに読み進めた作品。うむ、本当の快楽や愛を委ねる相手は誰なのか、の探索旅。その旅は結構ハプニングに富んだ末、終着点に。その相手とは、血の濃淡に悩む相手であった。血の濃淡、つまり血縁関係。禁忌の愛に行き着けば、意外にもその周りの血縁者は納得出来るものがあるとラストで描かれる。禁忌では当然あるのだが、分かる部分もあるのである。
2021/02/13
まさきち
前作「ダブル・ファンタジー」から引き続き荒れ狂っていた奈津の凄まじい生き様と性の追求が、意外なほどにあたたかい結末へと収まったことに驚きを感じました。しかし最後の辿り着いたのが生の喜びであり、故にその道程は強い性への追求だったのではなく、生への執着だったのではなどと独り言ち。ともかく奈津が幸せに満ち、落ち着いてくれたことに胸をなでおろしての読了です。
2024/07/11
じいじ
24作目のこちらは、15年前に初読みした『ダブル・ファンタジー』の続編と言うことで、官能度は高めと分かっていたので、躊躇っていました。村山小説の魅力は、ファンタジックな少女の夢を描いた『天翔る』、9歳の娘のイジメ問題・登校拒否をテーマにした『雪のなまえ』など、彼女の無限な懐の広さにあります。そのどれもが魂のこもった作品で、つまらくてダメは一冊もありませんでした。ただ夢中で『ダブル…』を読んだときの体力が、もうなくなりました。村山由佳の官能小説は卒業して、『はつ恋』のような恋愛小説を愉しむことにします。
2024/02/27
ナマアタタカイカタタタキキ
正直長い。つまらなくはなかったけれど半ば惰性で読んでしまった。前作読破から少し間が空いてしまったにもかかわらず、内容は結構覚えていたのでわざわざ読み返すこともなく入り込むことができた。客観的でありながらも衝動を抑えられない主人公に共感できる部分もあったけれど、大林と加納の魅力がなかなか理解できなくて、置いてけぼりにされるところも多かった。特にあのメールのやり取りは盲目的すぎて面食らう。ルシフェルってあんた…まあその痛々しさこそ恋のリアルなのかもしれない。その後の冷め具合まで読むと、やはり実体験がベース→
2021/08/04
もぐたん
ダブルファンタジーから広がる性的幻想はどこへ向かうのか。主人公の不甲斐なさに腹が立ち、関係する男たちの子供っぽさに苛立ち、周りが見えてない長文メールにはげんなりした。それでも、読むことをやめられなかった。主人公の、飽きることなく繰り返す盲目的な恋への熱量に対する憧れ、男たちの言い分への共感、どっちもどっちだよなと俯瞰して見る冷静さ、それらが体の中を駆け抜ける。遠回りした彼女は、安息の地へと辿り着いたと信じたい。まるで嵐が過ぎ去った後のような静かな緊張感が心地よい、官能少なめの長編。★★★☆☆
2021/03/24
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