大獄 西郷青嵐賦 (文春文庫 は 36-11)
大獄 西郷青嵐賦 (文春文庫 は 36-11) / 感想・レビュー
ふじさん
葉室麟は、前々から明治維新の総括する必要性を感じていて、維新に最初から最後まで関わった人物である西郷隆盛を書くことで成し遂げよう考え、書いたのが本作。島津斉彬に見いだされ、安政の大獄から逃れて奄美大島に潜居し、呼び戻されるまでの若き日の西郷隆盛を描いた作品。若き日々には、後の彼の姿を形作る萌芽がたくさん見え、読んでいてわくわくした。大獄は、西郷青嵐賦とあるように、おそらくは作者は続編を考えていたと思われる。読めないのが残念。西郷が理想とする国家とは?何だったのか?それを突き詰めた葉室麟の渾身の1冊。
2024/06/26
Gotoran
葉室麟が贈る若き西郷隆盛(吉之助)の前半生の物語。薩摩藩主島津斉彬に見出され、八面六臂の活躍をしながら、井伊直弼による安政の大獄を逃れ奄美大島に潜居するまでの、ほぼ 史実に基づく歴史長編。架空実在を問わず、己の信念に真摯に向き合い清冽に生きる漢(おとこ)として叙情たっぷりに生き生きに描かれている。読み応え十分だった。次は、西郷の晩年を描いた司馬遼太郎著『翔ぶが如く』を読んでみたい。
2024/07/28
coldsurgeon
島津斉彬に見出され、安政の大獄から逃れ奄美大島に潜居し、呼び戻されるまでの若き西郷隆盛の物語。維新前夜の流れはよく知られているが、維新を成し遂げた西郷隆盛は何を想い事を進めたのかは、あまり知られていないし、謎とも思われている。著者は、一つの解を提示している。道義のある国を創ろうとしていたのではないか、と。コロナ禍の日本が、経済成長を重視しすぎて道義を顧みない国になっているのを、改めて感じる。
2021/02/11
shimashimaon
時代背景として将軍継嗣問題、条約勅許問題、安政の大獄が描かれますが、本書の主題は謎とされる西郷の人物、思想の萌芽を描くことだと思います。岡崎久彦は『陸奥宗光』で、東洋思想を拠り所とする西郷は西洋を文明ではなく野蛮とみなし(力まかせに中国を蹂躙する姿はまさにそうなのだが)、そのために帝国主義の国際政治で日本の舵取りを担うには限界があったと評しています。一方、勝海舟は聖人と評してその死を惜しんだ。近思録や言志録、王陽明略歴、奄美大島での経験の影響を垣間見れました。『天翔ける』も『翔ぶが如く』再読も楽しみです。
2022/04/23
ばるたん
国のためなのか?民のためなのか?NHK大河の主人公が頭の中から離れなかった。
2024/07/15
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