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海を抱いて月に眠る (文春文庫 ふ 47-1)

海を抱いて月に眠る (文春文庫 ふ 47-1)

海を抱いて月に眠る (文春文庫 ふ 47-1)

作家
深沢潮
出版社
文藝春秋
発売日
2021-04-06
ISBN
9784167916756
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海を抱いて月に眠る (文春文庫 ふ 47-1) / 感想・レビュー

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たまきら

備忘録:韓国人の友人・在日1世~3世の友人たちと話していて感じるのは、当然だけれど自分のアイデンティとの向き合い方は本当にまちまちだし、変化していくということ。韓国人と理想に燃えて結婚し、日本を上回るような男尊女卑に疲れ果てている友人がいるので、友人と話しているような現実感を感じつつ読みました。本当は、日本だってかなりの多様な社会だということに、いいかげん日本は気づき、そのことを喜ぶべきだと思う。

2021/07/23

なおみ703♪

『パチンコ』を読んでからのこの本。読後感が温かい。韓国の音楽やメディア番組が日本に非常に人気がある一方で、在日韓国人への日本人の目は時に厳しく、差別と偏見に満ちている。この本は、恨みをつらつら書いているのではないが、在日韓国人の苦しみが伝わる。そして、1世と2世とでかなり考え方も異なることが切なくなる。父の死を通して、父に別の側面があったこと、それを知ることで家族の絆が深まるということ、その設定も心に沁みた。読後、このタイトルがピッタリだとも思った。決して息苦しい話ではないので、多くの人におすすめしたい。

2022/01/25

ツキノ

「父が死んだ。」で始まる物語。引き込まれて一気に読んだ。横暴で厳格、韓国の食やしきたりにうるさかった在日一世の父。日本で暮らして日本人の中で生きているのに日本人との結婚を反対された兄の鐘明。韓国生まれの韓国人と離婚した梨愛の視点で描かれているが、メインは死後見つかったノートに記された、家族が知らなかった父の壮絶な半生。著者の深沢潮さんは「大学生くらいまで自分が在日韓国人であることをひた隠しにしていた、この小説を書くことは、かつて否定していた自分のルーツに向き合う時間でもありました」と語っていたとのこと。

2021/07/01

智哉

衝撃的な密航船事故に始まり、混乱の朝鮮情勢に翻弄される。同情したくもなるが、民主化運動に傾注するあまり、容淑やオモニを悲しませたのは残念。家族を支えたと言えるのは、身を粉にして鐘明の医療費を稼いだことくらいか。

2024/10/05

二人娘の父

巻末の解説(斎藤美奈子さん)によれば、「在日文学」というジャンルがあるという。作家の名前には見覚えがあるが読んだことはない。本作は在日文学でも在日二世文学とも言えるのではないか。一世である父と二世の子の視点とを交互に織り交ぜながら、大きな物語としての戦後の日韓関係を描く。そこには小さな物語としての無数の在日韓国人たちの生きた姿が底流に太く流れる。おそらく作者の実体験にも裏打ちされたこの表現に、社会と歴史の断片ではあるが、輝く断片を見出すことができる。著者の作品は初めて読んだが、他の作品も大いに期待したい。

2021/07/28

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