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平成くん、さようなら (文春文庫 ふ 48-1)

平成くん、さようなら (文春文庫 ふ 48-1)

平成くん、さようなら (文春文庫 ふ 48-1)

作家
古市憲寿
出版社
文藝春秋
発売日
2021-05-07
ISBN
9784167916886
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平成くん、さようなら (文春文庫 ふ 48-1) / 感想・レビュー

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えみ

安楽死がもう身近にある…誰でも安楽死が選べるという国になった日本。遠くない未来そんな時代が本当にくるかもしれない。そしてきっとこの物語に出てくるような安楽死の悲しき現実や、安楽死を選びたい彼とそれを受け止めきれない彼女…のような問題が多かれ少なかれ発生するだろうなと思った。平成を象徴する男と世間に周知されている「平成(ひとなり)」くんは異常なまでに安楽死を願う。健康で、仕事は順調、お金もある。孤独でもないはずの彼はなぜ安楽死と名を変えた自殺に執着するのか。不思議な性生活に各々が選ぶ二人の未来が若干ホラー。

2021/06/08

❁Lei❁

安楽死が合法化された世界で死を望む平成くんと恋人の愛の物語。簡単に死を選べることが羨ましく、平成くんに共鳴しました。だからこそ「20世紀的発想」の愛の視点で進むのがもどかしかったです。けれど、死刑は死を権利でなく刑罰として考える点で時代遅れと言った平成くんに対して納得がいかない顔をしたアナウンサーのような人間のほうがきっと多数派です。死ぬな死ぬなと愛に迫られる平成くんが可哀想でしたが、彼女の立場になったら私もそうなるかもしれないと思うと怖くなりました。人の死を受け入れることが本当の優しさかもしれません。

2021/07/04

Kanonlicht

現実世界におけるタブーが合法化された世界というディストピア小説の一種だけど、肝心の安楽死が選択肢として機能するという状況にいまいち共感できなかった(合法化されたとてやっぱり自殺よりハードルが高いのでは)。それよりむしろ現代的な文化人のメンタリティを表現した話としては十分に楽しめた。考えさせられたのは、注解の「生きていることと死んでいることの間にそんなに大きな断絶はない」という一文。二度と会わない人と二度と会えない人の違いは、確かにそれほどないのかもしれない。

2022/05/24

Shun

本書で芥川賞候補。内容は純文学と社会派小説が同居したといった印象の作品で、芥川賞候補作の中ではとっつき易い内容とも感じました。平成(ひとなり)くんは平成生まれ、もうすぐ平成が終わりを迎えるという時に安楽死を望む理知的な青年である。彼の生活全般は充実しているのに何故、と思うまま結局私は彼の理解者にはなれなかった。けれど平成時代は昭和のツケを清算した年のような見方がされたり、諦観のような悟りのような考え等多様な価値観が芽生えた時代でもあり、平成くんのような考えもさもありなんと思える程には受け取れる内容でした。

2021/08/08

Junichi Yamaguchi

『僕はもう、終わった人間だと思うんだ』… 主人公は著者かな⁈ 何年か前のニュースがきっかけで「安楽死」について考えたことがある。 それと同時に「尊厳死」という言葉を知った。 個人的に「安楽死」については擁護派で「尊厳死」については答えが出ない。 主人公はどうなったのだろう? 今後、テレビで著者を見るたびに心配してしまいそうだ。。

2021/06/19

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