百花 (文春文庫 か 75-5)
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百花 (文春文庫 か 75-5) / 感想・レビュー
bunmei
認知症になった母と一人の息子との親子の絆を、切なく、愛おしく綴った、ハートフルな物語。自分の父も4年前に認知症を患い、最後は肺炎で亡くなった。今また母も老化が進み介護が必要になる中、本作が他人事でなく、現実味のある話として、胸が締め付けられる思いがあった。人はいつか老いて死んでいく。そんな摂理の中で、最後に蘇ってくるものはいったい何なのだろう?過去の苦しく悲しいシーンも、美しく楽しいものに変換するのも今ならできる。晩年に差し掛かってきた自分の人生も含め、老いとどう向き合うか、考えさせられる作品であった。
2023/10/02
いたろう
現在公開中の映画を観る前に再読。認知症を描いた小説というと、他に中島京子さんの「長いお別れ」などを思い浮かべるが、「長いお別れ」では、初期の認知症でのとんちんかんな行動でまず笑わせ、その後、症状が進んでから、家族が振り回される状況が、壮絶の一言であったのに対し、この小説では、笑いも壮絶という程の状況もなく、母と息子の関係が、ただただ切なく描かれる。母親の言う「半分の花火」とは何か。泉が思い出すラストがまた、何とも切ない。著者の川村さん自身が監督をしているこの映画で、この場面をどう映像化したのかが気になる。
2022/09/18
紫 綺
単行本にて読了。亡くなる前、両親とも認知症になった。母はまだ軽かったが父は重く、母の葬儀に来た息子を断片的にしか認識出来ず、離れて暮らした後悔をせずにいられなかった。最期に逢ったときのガラス玉のような無機質な父の眼を想い出し、泣く。身につまされた。
2022/09/28
kyokyokyo3201
映画化のため主人公二人が表紙となっていた。そのためか俳優さんを当て嵌めながらの読書となった。認知症の進む母を見続ける苦悩を思うと心が塞ぐ。母が失っていくものが息子にとっては母その存在そのものであったり。残酷であるが行く道である。高齢の父母のいる身としては心安らかに毎日を過ごすことの大切さを噛み締めた。
2022/08/11
ムーミン
自分はその時をどう迎えるのだろう。どんな心持ちで向き合えばいいのだろう。辛く悲しいけど、温かい作品でした。
2022/06/08
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