約束 (文春文庫 は 36-14)
約束 (文春文庫 は 36-14) / 感想・レビュー
タイ子
葉室麟さんの幻のデビュー作。ジュニアたちと明治維新、タイムスリップの物語。高校生4人がある日突然銀座のど真ん中で雷に打たれて明治維新の時代に。普通のタイムスリップなら飛んだ世界にポツンと取り残され「今何年?」とか言うけど、これはそうではない。この時代の人物に乗り移ったものだから一人二役みたいな感じ。体は明治、頭の中では日本史が…。過去に来たのは4人だけでなく、明治維新、西南戦争に大きな影響を与える人物もいた。彼らが明治の代で成長していく姿も微笑ましい。いいよねぇ、馬車の中からピースサインなんて。
2022/01/13
がらくたどん
自分の周囲の葉室ファン間では「噂」の1冊。「本当はもっと膨らませたかったに違いないのだからそっとしておけば良かったのに」「いやいや、やはり出発点は見てみたいし、この路線を試して案外と面白いからすごい」って、結局みんな読んでいるではないか!高校生が明治維新の動乱時代に転生し、当時の意識と現代っ子の意識の葛藤に悩みながら時代の渦に巻き込まれていくSF風味の歴史小説。設定は奇抜だがビックリするほど破綻なく整った内容。故郷の雄西郷ドンへの思い入れも既に読み取れて感慨深い。葉室麟をある程度読んだ読者への御形見分け。
2022/03/12
Kiyoshi Utsugi
没後に発見された未発表作品。 浩太、舜、冬美、美樹の四人の高校生が、交差点で雷に打たれて、目覚めた時には明治維新直後の明治6年にタイムスリップしていた。 浩太は益満市蔵に、舜は江藤新平の書生である芳賀慎伍に、冬美は勝海舟宅に身を寄せる小曾根はるに、美樹は西郷従道宅で行儀見習いをしている得能ぎんの体を借りていた。 そんな彼らは「四人して現代に戻る。そのために助け合う。」という約束をする。 高校生四人は無事に現代に戻ることが出来るのか… 筒井康隆風の作品でした。
2022/05/11
katsubek
葉室麟の、没後に見つかった未発表作品とのこと。歴史を丹念に追う作風は流石。されど、内容を思うと、もう少し長くてもよいかと感じる。作者としては珍しい、ファンタジー的要素もある故、ますます、そう感じる。
2022/07/30
紫陽花
葉室さんの死後に刊行された本です。初期のころに書いた作品とのことでした。主人公たちが、幕末に生きた人たちに入れ代わり、征韓論から西南戦争くらいまでの国が荒れた時期を生き抜いていくという話です。作家さんは年々作風が安定してきて、味が出てくることが多いので、プロになるかならないかの時期に書かれたこの作品、正直、あまり期待していなかったのですが、見事に裏切られました。面白かったです。
2022/09/17
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