ストーカーとの七〇〇日戦争 (文春文庫 う 39-1)
ストーカーとの七〇〇日戦争 (文春文庫 う 39-1) / 感想・レビュー
NADIA
ストーカー被害というのはいかに理不尽で辛く、そしてなかなか解決しにくいものかということが切々と伝わってくる。が、「加害者からこんなメールが届いた」「警察からこのように対応された」「弁護士が無神経だ」ということがいちいち書かれていて話がなかなか進まない。文章は平易なのに非常に読みづらい。怖いと怖いと言いながら、いまいち作者が本気で逃げようとしているように思えないと私にも感じられたのも、今一つ感情移入しにくいところ。それでも失うものがない、いわゆる「無敵の人」の怖さだけはしっかり肝に銘じたよ。
2023/08/15
マッピー
不安がどれだけ冷静な判断を阻害するのか。恐怖はどれだけ突然にフラッシュバックするのか。残念ながら日本の法律ではその辺の考慮は全くなく、事件が凶悪化するのを防ぐことも再発を防止することもできない。警察も弁護士も頼りにはならない。最初は、著者の態度が手ぬるいのではないかと思った。でもそれは、彼女がことばを使う仕事を生業にしているからなのではないか。残念なことに、どんなに心を込めて話しかけても、言葉をつくして語りかけても、全く響かない人というのはいるのだ。もっと実効性のある制度の構築を早急にすべきである。
2023/12/01
ぴんく
なんとか頑張って書き上げましたね!おつかれさん!てのが読後の率直な感想。ストーカー事案について、被害者としての体験を終始にわたって赤裸々に描写し、被害者として振り返りたくないあれやこれやを綴っている。そして理不尽とも思えるやりとりとその憤りから、提言や対策、各方面への感謝の言葉。紛れもない本心でしょう。まだまだ社会が、ニアリーイコール法律が追いついてないのです。もはやすっかりポンコツ職業認定された国会議員たち、法整備は大事な本職だろよ、利権ばかり気にしてないでしっかり仕事しろよ。
2024/05/18
そのじつ
恋人がストーカーに変わった瞬間が当人の筆で描かれる。この不条理と恐怖。内澤さんのくだけた口調で聞いても恐い。その後に続くのは自分が雇った弁護士との通じ合わなさとの戦い。警察の出来る事出来ない事との間で、結果自分で自分の身を守るしかない現実。心細さと他者の気遣いの温かさにもみくちゃになりながら、著者は少しずつ歩を進める。いつ終わるとも知れない闇のなか。ずっとつきまとい続ける「あの時のあの行き違いがなければ」という念。喉元に刺さった楔のように著者を苦しめ続けるが、この思いがあったればこそ結末に辿り着けたのかも
2024/08/17
ランフランコ
面白いと言っては被害にあった著者には大変失礼だが、でもやっぱり面白かった。ストーカー被害の臨場感に溢れていた。ストーカーなどと言うものに会ってしまったら、こんなにも大変な事になるというのがよく分かった。現在はもう少し法整備が進んでいるようだが。この連載をしている段になっても、加害者はろくに反省もせず逆恨みを増幅しているようだが、著者はその後大丈夫だったのだろうか?そこは非常に心配だが。
2023/11/08
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