いけない (文春文庫 み 38-5)
いけない (文春文庫 み 38-5) / 感想・レビュー
パトラッシュ
著者はドラマやゲームが面白さの追求に懸命だが、小説は読まれるための努力が足りないと語っていた。その努力の結晶が本書なら確かに骨身を削って創作しているが、方向性が間違っているように思える。各編の最後に添えられた写真から意外な真相が浮かび上がる組み立ては構成の達人といえるレベルだが、わかりやすさとカタルシスを犠牲にしているのでモヤモヤ感が拭えないのだ。エンタメ読者はリーダビリティを求めているのであって、裏の裏に裏がある話は一周回って意味不明な純文学に繋がりかねない。好む人もいるだろうが、今ひとつ乗れなかった。
2024/01/27
ナルピーチ
さすが道尾作品に抜かりなし!読友さん達のレビューを拝見して、高レベルな謎解きミステリーと構えながら読んでいたものの、答えに辿り着けずに読後は考察サイトへまっしぐら!見事に撃沈です😵構成としては4つの章から成り立ち、各章ごとの終わりに1枚の写真が載せられている。その写真から“隠された真相”を導き出し、物語にはないもう一つの結末を見破る事ができるかが本書の楽しみ方。やっぱり凄い作家さんだなと改めて脱帽。“騙されてはいけない、けれど、絶対に騙さられる”その言葉に偽りなしの驚愕ミステリー、とても面白かったです!
2023/05/18
Kanonlicht
架空の町を舞台にした3つの事件について、文章中に潜む伏線から隠された真実を推理する考察系ミステリ。一読しただけではわかりにくい部分を、各話の最後に一枚の写真を見せることで情報を補完するという手法は面白い。写真がなくてもたどりつけるようになっていて、アンフェアではないのがよかった。それでもさすがにわかりにくいと思ったのか、答え合わせ的な最終章がついているのがやさしい(この手の話はだいたい答えが明かされないまま終わったりするので)。
2022/09/29
おくちゃん🍎柳緑花紅
さすが!と唸る読書。最後の最後で私も固まった。動けなくなった。9月には第二弾が発売されるという。道尾氏のちょっと癖のある文字で、今作を超えましたとの冊子付き。驚愕のラストが待つという。読まなくては「いけない」!
2022/08/22
ほんた
全4章のストーリーの最後にある一枚の写真や図で結末を考察するという,独特の作品。意図がわからない章もあって,ネットで多くの人の考察を参考にしました。面白かったです。道尾先生の挑戦的な作品。 https://hontablog.com/いけない
2023/04/08
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