カインは言わなかった (文春文庫 あ 90-1)
カインは言わなかった (文春文庫 あ 90-1) / 感想・レビュー
イアン
★★★★☆☆☆☆☆☆バレエを扱った芦沢央の長編。演劇界の鬼才・誉田率いる劇団の初演直前に、主役に抜擢された藤谷が失踪する。しかしそれは何人もの人生の歯車を狂わせる序章に過ぎなかった…。藤谷の恋人や代役のルームメイトなど、総勢5人の視点からその日何があったのかを炙り出していく。「カイン」を扱うだけにミステリファンなら当然殺人が起こるのは予想できるのだが、それが一向に訪れず冗長に感じてしまった。バレエや絵画といった芸術的感性を要求する作品だが、核となるテーマをとことん研究し作品に昇華させる芦沢スタイルは健在。
2024/07/14
アッシュ姉
人気ダンスカンパニーの新作公演直前に巻き起こる失踪事件。厳しい指導で評判のカリスマ監督、主役に大抜擢された兄、舞台装飾を手掛ける弟。芸術の神に魅入られた人間と、触れ回される周囲の者たちをめぐる長編ミステリー。芸術とは無縁、ストイックとは真逆の生活を送っている私には理解しがたいことも多く、なぜここまでするのかという思いが終始つきまとった。あの夫婦は救われたのだろうか、彼女たちはどうなったのだろうか、その後が気になる終わり方だった。
2024/02/08
坂城 弥生
姿を消したダンサーと劇団を取りまく様々な人達の思惑…。
2022/09/13
よっち
カリスマ芸術監督が率いるダンスカンパニー。その新作公演「カイン」の初日直前に、主役の藤谷誠が突然失踪してしまい、沈黙が守ってきたものの正体に切り込む罪と罰の慟哭ミステリ。公演直前に姿を消した主演、美しき画家の弟、代役として主役カインに選ばれたルームメイト。全てを舞台に捧げ、壮絶な指導に耐えてきた男に何が起きたのか。複雑な思いを抱える人物たちの描写を積み重ねていきながら、特別な存在になりたい、認められたいのに満たされない芸術の不条理さが浮き彫りになりましたけど、こういう事件の動機は意外と平凡なんですよね…。
2022/09/15
カブ
ダンスカンパニーの新作公演直前に主役の藤谷誠が行方不明に。自分の意思なのか、事故や事件なのか。バレエや舞踊の知識がほとんどないため、わかりにくい場面もあったが妙な緊張感と嫉妬や野心などの感情が押し迫ってきて読む手が止まらなかった。
2022/11/20
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