Iの悲劇 (文春文庫 よ 29-3)
Iの悲劇 (文春文庫 よ 29-3) / 感想・レビュー
ケイ
懐かしい。このスピリット、古典部だね。もちろん、主人公達は市職員だから大人の事情は絡むんだけど、このリズムのあり方はそうだわ。氷菓とか、思い出しちゃった。 上司と彼の関係は、古典部のように続いて欲しいと強く希望。米澤さんの作品では、こういうタイプのミステリが私は好みです。まあ、池井戸さんにしろ、現代のポレミックな観点のひとつにはIターンがあるということだな。
2023/02/01
ナルピーチ
廃村と化した村に移住者を募り再生させる“Iターンプロジェクト”を支援する為に作られた甦り課と都会から離れ田舎暮らしを夢見た移住者との触れ合いを描いた物語と思いきや、様々な理由から住民達は再び村を去っていく…。深刻な過疎化によって廃れていく集落。その復興と問題点をテーマとして扱いミステリーとして読ませる手腕は流石の一言。本作も一話一話は軽めの読み物と言った印象を受けるが最終章になって解釈の仕方が一気に反転した。政治的思想を組み込んだ米澤版「そして誰もいなくなった」は現実にあってもおかしくない物語だと言える。
2024/09/01
かぷち
南はかま市Iターン支援推進プロジェクトに図らずも関わることになった万願寺。定時退勤のパッとしない課長に、部下はマイペースの新人1人。無人になった集落を再生させることは果たしてできるのか、というお仕事小説かと思いきや… どこか癖のある住民たちが1人また1人と、という不穏な展開に心がざわめき、どう着地すると思っていたら、そうきたか。ピリリと皮肉の効いたスパイスで、一読で二度美味しい。ブラックユーモアとしても社会派としても楽しめる作品でした。第二の人生を新天地で踏み出そう、って感動系のお話より私は好み。
2023/12/01
小説を最初に書いた人にありがとう
移住支援を行う地方市役所職員の万願寺が主人公のお仕事小説かと思いきや、無人となった旧簑石村へと移住してくる癖のある家族たちの悲喜劇のような問題をミステリーの解決的な要素も持ちながら進んでいく。米澤作品らしく、トリックだけでない捻りの効いた解決を楽しみながらも、根底にある違和感や不穏なものが増殖されていく。そして驚きのラストへ。移住を考えている自分としては躊躇いも生まれつつ読了
2022/10/08
annzuhime
無人となった村に人を呼ぶ。市が推進するIターン事業。事業を担う甦り課で務める万願寺。やってきた10世帯の移住者。しかしトラブルが続出し、移住者たちは村を去る。万願寺さん真面目さも良いけど、課長のキャラが好きだなぁ。自治体の問題がリアル。田舎への移住は憧れだけでは無理よ。トラブルが起きて解決するはずが、なぜかザワザワする。そして最終章。このザワつきは解消しないのかな。
2022/10/07
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