神域 (文春文庫)
神域 (文春文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
真山さんの今回はアルツハイマー治療薬をめぐる物語です。警察と治療薬をめぐる研究所がらみで結構業界などの詳しい様子なども描かれています。徘徊老人たちが行方不明となりその後死体で発見されたりするところから警察も目を付けますが最後はほかのところからの圧力によってうやむやに。最近のエーザイと米国の研究所の話があるので非常にタイムリーな話であると感じましたが、最期はうまく結末をつけた気がしました。
2024/05/17
てつ
アルツハイマーの治療薬の問題というよりは倫理の範囲の問題。深く考えさせられる作品。真山さんの作品にはいつも唸る。
2022/11/04
PEN-F
認知症を治すことができるという夢の細胞「フェニックス7」を巡る研究者たちの思惑、葛藤、そして暴走がリアルに描かれています。研究所や製薬会社にしてみれば巨額の富を生むであろうこの細胞で先行者利益を得たいところだが、やはり日本では治験の段階で慎重にならざるを得ず、なかなか先へ進めない。人体による治験は命に関わることだから慎重になるのは当たり前だと思うが、治験の段階に進まない理由が医者の学会だか厚労省だか何省だかよく分からんが、何か起きたときに責任を取りたくないっていうのが一番の理由のような気がしないでもない。
2023/02/20
速読おやじ
アルツハイマーの治療薬として開発されたフェニックス。死滅した脳細胞を再生させる人口脳幹細胞だ。なかなか治験承認が降りない中で、研究者達がとった手段とは?アルツハイマー患者の願いと、研究者たちの志、政府の思惑、海の向こうの米国政府も巻き込んだスケールの大きな物語。再生医療自体は、注目されている分野だし、難病を治療できる手段として人類の夢。だからこそ、利権のインパクトは大きい。そこには国益すら絡んでくる。さて、物語に出てくる登場人物がそれぞれにキャラが立ってユニークだ。特に若手女性警察官の松永が最高^ ^
2022/10/12
タルシル📖ヨムノスキー
宮城県内のある地域で起きた徘徊老人の失踪・死体遺棄事件と、認知症を治療するという画期的な細胞フェニックス7。再生医療、延命、遺伝子の解析と組み替えetc。これは本当に人間が手を出していい領域なのか。元々人間の肉体的な寿命は50歳くらいだったとも聞く。何せ江戸時代はいわゆる「五十肩」が「長命病」なんて言われていたようだから。長く生きることが本当に幸せなのか、ちょっと考えてしまう。とても難しいテーマの物語だけれど、マッドサイエンティスト一歩手前の研究者や、超脳筋の警察官などが登場し、テンポよく物語が進む。
2023/03/18
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