カッティング・エッジ 下 (文春文庫 テ 11-49)
カッティング・エッジ 下 (文春文庫 テ 11-49) / 感想・レビュー
Tetchy
今回は久々にディーヴァー・マジックを堪能した。事件という原石から真相を見抜き、丹念に削り取って磨きに磨きを入れ、読者を驚嘆させる真相を暴き出していく過程はまさにダイヤモンド加工そのものである。そしてそのダイヤモンドは何とも云えないサプライズという輝きに満ちていた。題名にもディーヴァーの自信が満ちている―『カッティング・エッジ』は「最先端」という意味―。本書は実にスマートであざとくなく、しかも奥深さを感じさせる事件で全盛期のどんでん返しの妙を強く感じた。こんな作品が読めるならばディーヴァーもしばらく安泰だ。
2024/05/07
future4227
下巻の前半で早くも犯人の素性が明かされる。それもライムが追跡の上に見破ったという体ではなく、普通に犯人によって自ら手口が語られるという実にあっさりとした種明かし。そう、ディーヴァーにとって誰が犯人であるかは、さほど重要ではないのだ。様々な証拠がどう繋がるのか、どうやって犯人を追い詰め逮捕するのかという所が見せ場なのだ。今回も様々な伏線が見事に繋がっていき、遂には思わぬ真相に辿り着く。ただ今回は犯人側の狙いが複雑すぎて、そもそもこの計画にダイヤモンドって必要?という疑問が残った。
2023/02/22
ぶんぶん
【図書館】リンカーン・ティムのシリーズ14弾の後編。 流石はディヴァ―、どんでん返しの連続、凄い凄いジェットコースターに乗ってる気分。しかし、あれだけダイヤモンドの情報を入れて、結局は関係なかったし。その裏に隠された秘密なんて判らないよ(笑)掌の上で遊ばされた感じ、でも、その感じが心地良い。謎の盗賊王がちらりと登場するのも、シャーロック・ホームズみたいで、何とも憎い演出だ。次回も楽しませてもらえそうだ、最後に訳者の池田女史に感謝を、このように自然に日本語に訳される事は見事。流れるように物語りに入れます。
2023/03/29
ひさか
米国で、2018年4月THE CUTTING EDGEとして出版されたものを訳し、2019年10月文藝春秋から刊行。2022年11月2分冊にして文春文庫化。シリーズ14作目。地震を爆薬で演出するという技が登場しますが、盛り過ぎで少し無理が多い。最後の7頁で明らかになる事実は驚きですが、反則というかそんなことここで言ってどうなるの!って感じで、全く、やってくれます。そういえば、15作目の真夜中の密室は先に読みましたが、このラストには繋がってなかったです。
2022/12/10
大奥のじぃ
毎年、年末の恒例となったリンカーンシリーズ14作目。今年はダイアモンドのお話。イカれた未詳四七号を追いかけるリンカーンチーム。プロミサーことウラジミール・ロフトフは何者か、彼のバックで暗虐する組織や真の狙いが次々と暴かれていく。特筆すべきことはリンカーンとアメリアの会話が異次元的に進化していることだ。微細証拠の科学分析による未詳の犯罪プランをことごとく推理分析し対策を取る、この夫婦を敵に回してはならないのだ。
2023/12/27
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