白い闇の獣 (文春文庫 い 107-3)
白い闇の獣 (文春文庫 い 107-3) / 感想・レビュー
青乃108号
最近、嫌なニュースばかりだな、と感じて暗い気持ちになるが、ニュースに限らずこの世界なんてまるごと全部嫌。と厭世感で一杯になり死にたくなる一冊。俺は「本好きではあるが躁鬱病を患っている為限られた時間しか本を読めない妻」に薦められる本を見つける為もあって色々読んでいるのだけれど、その意味で言えば本当にこれだという本はいまだに見つけられていない。この本も到底彼女には読ませられない。物語的には終盤の復讐からラストにかけて僅かな救いはあるものの、妻にはそこも汲み取る事は出来ないだろうから。また次を探す事にする。
2023/04/04
のり
小学校を卒業した次の日に誘拐され暴行の末、命を絶たれた少女。犯人は捕まったが3人の少年の犯行だった。少年法に守られ、反省したふりをしながら社会に戻って来た。4年の月日が過ち少年2人が続けて転落死する。事件、事故の両方から捜査が進む。疑いを向けられた少女の父親。しかも行方がわからない。彼を捜すのは警察だけではなく、フリーライターと少女の元担任の女も動き出す。残す主犯格だった少年はさらなる獣と化していた。現法でも難しい少年法。しかし、反省せずに繰り返す者はいる。
2023/03/06
JKD
少年法の闇をテーマにした物語。少年たちの欲望を満たすためだけの卑劣かつ残虐な行為は決して許されないが、少年法によってその判断は明確に切り分けられる。朋美ちゃんの仏壇にあった写真はまさに闇。鳥肌立ちました。暴力依存症の山岡と、捨て身で闘いに挑んだ香織のシーンも壮絶。少年犯罪と言えば「時計じかけのオレンジ」を想像してしまいます。獣はやっぱり獣なんですね。恐ろし。
2023/01/04
イアン
★★★★★★★☆☆☆少年法を扱った伊岡瞬の社会派長編。12歳の少女が暴行の末に殺された。少年法に護られた犯人たちは驚くべき早さで社会復帰を果たすが、出所後に次々と不審死を遂げ…。一連の犯行は、突然消息を絶った少女の父親による復讐なのか。東野圭吾の『さまよう刃』や薬丸岳の『天使のナイフ』を彷彿とさせる重いテーマだが、これらの作品ほど少年法の不備を訴えてはいない。ただひたすらに広がる白い闇。著者はこの作品を書き上げた後、「これは世に出せないだろう」と感じたという。なぜそう感じたのか、その胸の裡を聞いてみたい。
2024/10/26
モルク
卒業式を終えたばかりの小6の少女が少年3人に拉致され殺された。帰りが遅い父を傘を持って迎えにいった娘に約束通り早く帰宅すればと悔やむ父、少女が出掛けるのを止めなかった母は自らを責めるも、犯人たちは少年法で守られた。4年後野に放たれた少年3人のうち2人がそれぞれ転落死、その後離婚した父に疑いが…そして少女の元担任香織が絡む。どうもこの香織に好感がもてない。娘を亡くした不倫相手の妻に会って話を聞こうとするなどいらいらする。これだけ情報に溢れた現在、少年といっても分別がつかない年でない限り厳しく処罰すべきと思う
2024/07/08
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