淀川八景 (文春文庫 ふ 49-1)
淀川八景 (文春文庫 ふ 49-1) / 感想・レビュー
佐島楓
たとえ同じ景色を見ていたとしても、それぞれ過去に受けた傷は違うし、あたりまえだけどいま考えていることもすべてばらばらだ。それを人の営みとしていとおしいと感じられるように、できるだけ許容できるようにと思えるようになれればいいな。そんな気持ちにさせてくれた短篇集だった。
2022/12/13
サンタマリア
通勤電車で読むにはピッタリの本。短編集でさらっと読める。淀川を背景据えて苦悩しながら生きる人たちに焦点を当てた短編集。悩みがステレオタイプだったり、似たような話が多かったりと残念な点はそれなりにあった。けど、面白かったのでよしとしよう。
2023/06/23
エドワード
大阪へ行く時、淀川は広いなあ、といつも思う。鴨川よりも、隅田川よりも広い。そんな淀川を舞台にした人間模様。コテコテの新喜劇かと思いきや、情感あふれる物語だった。この世でたった二人の姉妹の絆。父の再婚相手の男の子の野球を眺める女子の心象風景。子宝に恵まれない夫婦の心の綾。映画撮影の高校生たちの青春。愛犬を失った男と野犬の邂逅。独りで生きる投資家の強がりと弱み。世間の暗部もほのかに垣間見える。財布を拾ってくれたタクシー運転手のおばチャンの「飴ちゃんあげるから、元気出しや。」待ってました!の優しさが光る。
2023/04/06
おいしゃん
人生なかなかままならず、という家庭や生活を、そっと淀川が寄り添う八編。 期待せず読み進めたが、淡々としたタッチが今の自分にはちょうど良かった。 ストーリーに、淀川らしさ、大阪らしさはそこまで強くない分、たとえば都内在住なら多摩川や荒川に置き換えても違和感なく、どんな人にもしっくりくる本だとも言えそうだ。
2023/01/31
ロマンチッカーnao
淀川っていいなあって改めて思う。僕は阪急京都線なので梅田に行くときには必ず見る。住んでるところも淀川水系の河が流れている。馴染み深い。そこで暮らす人たちの人生をきりとった作品集。決して心温まる話ばかりじゃないけど、そこがより人間臭くていい。野球少年には、引っ越しても野球を続けてほしいし、映画部の人には映画も恋も成就してほしい。僕も登場人物の一人になったように思える作品です。もっと読まれてほしい。レビューが寂しい。
2023/11/05
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