陰陽師 鼻の上人 (文春文庫 ゆ 2-37)
陰陽師 鼻の上人 (文春文庫 ゆ 2-37) / 感想・レビュー
KAZOO
これは夢枕さんの陰陽師シリーズの挿絵を担当している村上さんへのオマージュということで出されたのですね。村上さんが昨年亡くなられていることを初めて知りました。今後の陰陽師シリーズはどうなるのでしょうね。このシリーズのひとつの愉しみが失われてしまいました。この本でもカラフルな挿絵が数多く収められていてそれが話をさらに興味あるものにしてくれています。
2023/03/11
眠る山猫屋
馥郁たる優しい空気に包まれた短い物語。晴明、博雅そしてすっかり馴染んだ蘆屋道満が不思議な物語に寄り添う。いつも通り、京の世に起きた摩訶不思議な事件の解決に、それぞれ乗り出す三人。蘆屋道満は表題作通り、鼻がデカい坊さんを救いに、晴明と博雅は鳴らなくなった楽器の謎を解きに。事件は交わるが、神秘的な光景が美しい。降り散る桜の花弁はこんなにも優しくも絢爛に舞い散るのか。この情景は、夢枕獏さんにしか描けないよなぁ。あぁ、早く桜の季節が来ないものか・・・。
2023/01/19
HMax
博雅が活躍する回は、いつも楽しい気がする。 今回は玄象と並ぶ琵琶の明器「牧場」を弾く博雅に感動の渦。「まひろ」の琵琶とは大違い。
2024/07/25
mahiro
今昔物語などに出てくる鼻の内供陰陽師版。村上豊さんのカラー挿し絵凄く良い。ユーモアがあって不気味さや、迫力もありきっちり写実的でないのが見る人の想像力を刺激する。夢枕獏さんの陰陽師はこの挿絵じゃなきゃ…と思うがもう新しい挿絵を見る事はかなわず。いつものように晴明と博雅が登場。帝の前で鳴らなくなった牧馬を弾く博雅、今昔や宇治拾遺と違って内供の鼻が元に戻ったのが良かった。
2024/03/04
みやび
芥川龍之介の有名な作品「鼻」に陰陽師の世界を絡ませると、一瞬にして雅やかで美しい物語に変わる。流れるような心地良い文体に、どこか滑稽さのある温かい挿絵。優美な絵巻物を見ているような気持ちになれる。しかし、その挿絵を担当されていた村上豊さんがお亡くなりになられたそう。陰陽師の作品にこれ以上ないくらいよく合っていただけに、今後はもう見られないのかと思うと物寂しく感じる。それでもこの作品は続いてゆく。夢枕獏さんと村上豊さん、心はこれからもお二人共に。「ゆこう」「ゆこう」そういうことになったのであった。
2023/03/17
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