一人称単数 (文春文庫 む 5-17)
一人称単数 (文春文庫 む 5-17) / 感想・レビュー
yoshida
村上春樹さんの作品は一頃随分読んだ。20代からから30代にかけて。静かな文体に表れる不穏さ。そこが好みだと思う。久しぶりに読む村上春樹さんの短編集。「石のまくらに」、「ウィズ・ザ・ビートルズ」、「品川猿」が好み。刹那的な関係、かつての恋人の死、不思議との邂逅。「石の」での短歌は数編私にも刺さる。村上春樹さんの作品で短歌は珍しくもある。「ウィズ」での昔の恋人とその兄。かつて読んだ「ねじまき鳥クロニクル」を少し想起したが、平穏な兄妹で安心もする。「品川猿」は村上春樹さんらしい不思議さ。長編も再読したくなる。
2023/02/18
K
短編集。村上春樹を読んだのは学生の頃の『海辺のカフカ』や『ノルウェイの森』以来か。独特な世界観の余韻とともに、久々に浴びる独白めいた語り口に懐かしさを感じた。一部例外を除きそれぞれ振り返ってみると、総じて過去の体験を追想し疑問が残りつつも作品内では折り合いをつけられ、読み手側としては一呼吸置いて心がざわついてしまうような結びが印象に残る。
2023/05/05
セシルの夕陽
何のジャンルに入るのだろうか。エッセイのような私小説の8話短編集。どこか不思議な話が綴られている…春樹氏にかかれば、全て謎めいた話になるのだけど。ジャズやビートルズ、クラッシックの音楽に絡んだ作品もたくさん。私は疎くて残念ながら『謝肉祭』はシューマン🎵謝肉祭を聴きながら読んだ。『品川猿』は「東京奇譚集」にも出てきた話とリンクしていた。『ウィズ・ザ・ビートルズ』が1番好き♡ 今後も春樹氏の文章リズムに時々触れたい。
2024/06/28
ちゅんさん
村上春樹は人にどの作家が好きかと聞かれたときに答える作家なのだけどじゃあどの作品がおすすめか聞かれた時にいつも困っていた(だって1Q84は長すぎるしノルウェイは合わない人には合わないと思うから)。でもこれからはこの短編集をすすめることにする。特に『石のまくらに』が良い、この人は短歌も書けるのかと驚いたし村上春樹らしさが溢れている。他には『ウィズ・ザ・ビートルズ』もいい。村上春樹は相変わらず村上春樹なんだけどこんなに笑えたっけというほど読んでて笑ってしまった。それはそうと表紙のあれに気づきましたか?
2023/05/06
こばまり
2009年以降に発表された作品のどこかしらに、故郷やかつて住んだ街、通った場所など何かしら自身に縁のあった地名が出てくるのだ。都度頁を開いてはハッとすることが続いている。そんな頓狂なカミングアウトを許す雰囲気を醸す作品集だった。そして今回も見つけた。
2023/03/06
感想・レビューをもっと見る