金子みすゞと詩の王国 (文春文庫 ま 44-1)
金子みすゞと詩の王国 (文春文庫 ま 44-1) / 感想・レビュー
佐島楓
名前と代表作くらいしか知らず、人となりについて関心があったので、読んでみた評伝。作品に感じていた寂しさの正体が少しわかったかな。日本の童謡詩と呼ばれるジャンルに、女性として認められた作家がいなかった(金子みすゞ氏も、生前はほとんど無名だった)ということを知り、長らえて作品を作りつづけていたら、文筆活動で生きていけたかただったのかもしれないと思い、残念だった。時代のせいなのか、めぐりあわせのせいなのか。そんな中でも西條八十が彼女の作品を評価していたのは唯一の救い。
2023/03/24
R子
金子みすゞの評伝。「100分de名著」を観てこちらも。この時代に女性が文学者として認められることの難しさ、それでも懸命に創作を続けるみすゞの姿に胸打たれた。弟の雅輔や、慕っていた西條八十の存在も、創作を続けていくための力になったことがうかがえる。詩の解説も豊富。みすゞの詩は言葉がやさしく、親しみやすさを感じるのはもちろん、発想が光っている。他作品のモチーフを下敷きにして書かれたであろう詩も紹介されているが、自分の作品に組み立てることができる力に感服。
2023/05/28
はるき
幼稚園の卒業記念が金子みすゞの詩集でした。美しく幻想的な世界を紡いだ彼女の人生について初めて詳しく知りました。彼女は詩作に選ばれた人だと思いますが、だからこそ決断が悲しい。
2023/10/12
ロビン
「100分de名著」での内容に大幅に加筆した評伝で、時代背景や当時の童謡作家たちの作品、みすゞが師と慕った西條八十の作品と、彼がみすずのために描いた哀悼の言葉なども紹介されている。みすゞの家庭環境や作品投稿の努力、弟・雅輔や夫との関係についても詳しく知ることができた。みすゞの死後時代が戦争へと傾斜していき、みすゞの持つ小さなものへの優しさは軟弱さと批判されるようになる。殆どの文学者が戦争礼賛の作品を作ってしまったことを考えると、みすゞの自死は悲しいが、あんな時代を生きなくて良かったのかもしれない・・。
2024/05/28
Ayakankoku
非常に詳細に金子みすゞさんの生涯について述べられていた。彼女が自殺をしていたことは、初めて知った。また自殺の前日に写真館で写真を撮っていたことも驚きであった。
2023/07/08
感想・レビューをもっと見る