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東京、はじまる (文春文庫)

東京、はじまる (文春文庫)

東京、はじまる (文春文庫)

作家
門井慶喜
出版社
文藝春秋
発売日
2023-04-05
ISBN
9784167920258
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東京、はじまる (文春文庫) / 感想・レビュー

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ばう

★★『家康、江戸を建てる』を読んだ流れで借りてきたけれど令和の時代に生きる身には辰野金吾に共感出来ずに読了。東京駅と言えば、の辰野金吾。良い意味でも悪い意味でも凄い人物。こんな人が自分の周囲にいたら堪らない。猪突猛進、尊大で自分勝手、空気は読まない。恩師コンドルから日本銀行建設の仕事を横から奪い取り、家庭でも職場でも全て自分の思い通りにしていく。けれど終盤、竣工したばかりの東京駅から街並を見て自分は過渡期の人間と考える。新しい風が吹いたと思ったらもう次の風がやってくる。そうやって歴史は繰り返していく。

2024/09/09

Sam

激動の明治時代、世界に冠たる近代都市としての東京を作り上げんと奮闘した建築家、辰野金吾を描く。著者の持ち味(といえるほど読んでないけど)がよく発揮された痛快な作品に仕上がっている。日銀や東京駅といった歴史に刻まれる仕事を成し遂げた金吾だが、やがて建築にあるべき「芸術性」はいずれ「効率性」に取って代わられる運命にあり自分は過渡期の建築家に過ぎないと独白する。が、ではそれが行き着いた先の現代の建築はどうなのか。全くもって個人的な思いだが、あちこちの古き良き飲み屋街が取り壊されていくのは残念でならない(失礼)。

2023/05/10

Shun

明治となった日本で数々の業績を残し近代日本建築の礎を築いた建築家・辰野金吾の一代記を描く歴史小説。辰野は近代化が進む東京を完成させるという大望を抱き、留学から戻ったその足で建設中の鹿鳴館とそれを手掛ける恩師コンドルに会いに行きます。師と共にその高所から東京の街並みを見た彼はある思いを抱く。明治維新から十数年経っても東京の町は以前として砂埃が舞い、近代国家の手本となる西洋と比べてまだまだ生まれたばかりの国家に過ぎないと。辰野が設計し採用した建築様式とその精神がまさに日本近代化の夜明けを体現しているかのよう。

2023/04/11

エドワード

唐津藩の下級武士の家に生まれ、明治になり首都東京に日本銀行本店や東京駅など、多くの西洋建築を建てた辰野金吾の生涯。イギリス在日公使アーネスト・サトウの、日本銀行本店の内覧会の印象「維新以来まだ29年の歴史しか持たない日本の何という発展のはやさか、と驚嘆の念を抱いた。」が感慨深い。発展途上国・日本が必死に西洋へ追いつこうとしていた時代の熱気が、辰野金吾を通して感じられる。師のコンドルから仕事を奪うエピソードが強烈だが、勉強家で、感情豊かで、時に尊大で、家族思いだが口下手な典型的な明治男の姿を金吾に見る。

2023/04/24

ゴルフ72

辰野金吾さんと言う名前は東京駅建築とだけ知っていたが、この書を通して彼の人となりを見たように思う。傲慢に見えるもとてもやさしい人だったし、すごく寂しがり屋のようにもみえた。最後まで日本の未来を考えていた。最後の最後までカッコよかった。日本銀行他多数の設計に携わったこんな人がいたから・・・

2023/04/30

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