陰陽師 水龍ノ巻 (文春文庫 ゆ 2-39)
陰陽師 水龍ノ巻 (文春文庫 ゆ 2-39) / 感想・レビュー
KAZOO
最新刊の陰陽師ですが単行本でも読んでいたので再読です。今回はコロナの現代を意識して、「野童游光」、「秘帖・陰陽師 赤死病の仮面」(番外編で身勝手な左大臣が主人公)で当時の流行病を書かれています。また今回は中編の「蘇莫者」で蝉丸の若かりし頃から現在までのはなしが語られています。それにしても晴明の相棒の博雅の笛の音は人の悪を失くしてしまうようですね。いつもながら楽しめました。
2023/06/22
眠る山猫屋
今巻は博雅活躍巻。博雅の無私というか、“よい曲を奏でていたい”という気持ちだけしかない事が、まわりの人々や妖を、時に神仙さえも癒してしまう。誰かに褒めてもらいたい訳でも良き楽器を手にしたい訳でもない、ただその瞬間を、美しい音で満たしたいという博雅の願いは、きっと何かを超越しているのだろう。そしてそれを描く獏さんは凄い。『読人しらず』の太薫のような厄介者さえ慌てさせてしまう博雅の天賦の才、それを間近に感じている晴明の感嘆のため息が聞こえてくるようだ。
2023/08/18
chiseiok
あれれ、予想外に良かったかも。IWGP同様ルーティン読みのつもりでしたが、断然こっちの方が濃かった面白かった。衣良さん済まんですw。何しろキャラのポテンシャルが高いので、物語舞台にぽんと出しただけで勝手に怖くて哀しくて面白いお話をつるつると紡いでくれる(…ように感じるけど、それだけ獏さんが手練ってことか)。今回イノセントツートップの泣き虫博雅と恋バナ蝉丸、究極のあざとツートップ道満と晴明、コントラスト最高です。さらに唐突に異世界に迷い込んだような不安感を感じさせるラス前のお話も秀逸。獏さん枯れてないです。
2023/12/26
鷺@みんさー
読み応えあるなぁもう!文字数やページ数だけでいくとかなりさくっとした連作短編なはずなのに、満足感がえぐいわ。勿論『赤死病』も面白かったし、『蘇莫者』は、その語源の由来といい、物語の壮大さも、陰陽師あるあるな女の凄まじさも、そして舞の描写の美しさもうっとりだった。しかし全体的に、「博雅よい漢すぎるブヒー🐷💨」て感じです!(頭悪い系感想w) いや、昔はやはり晴明さまの綺羅綺羅しさにキュンでしたが、この歳になって読むと、博雅なんつーイケメソ。→
2024/05/13
みやび
四季の移ろいと共に簀に座して、晴明と博雅がほろほろと酒を酌み交わす。そんな、いつもの光景が心地良い。だけれども、今回は晴明も博雅も登場しない異色作も収録されていた。ポーのオマージュである「赤死病の仮面」は、ミステリ好きとしてはそのタイトルから心惹かれるものがあるが、作品としても一際存在感を放っていた。他にも蝉丸の過去の悲恋を垣間見たり、所々で道満が絡んでいたりと盛り沢山な内容。個人的には「読人しらず」が可愛くて特に好き。博雅の無意識の超人ぶりを堪能出来る。「それにしてもおまえは得な漢だなあ、博雅よ」
2024/01/06
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