対談 戦争と文学と (文春学藝ライブラリー 雑英 18)
対談 戦争と文学と (文春学藝ライブラリー 雑英 18) / 感想・レビュー
モリータ
◆古山高麗雄との、空中戦でない下卑た話も含めての対談がよかった(ついでに「白い田圃」「プレオー8の夜明け」も読む)。ほか、大西巨人、司馬遼太郎、阿川弘之といった大物との話もあり。◆『ミンドロ島ふたたび』は未読なので手に取りたい。『レイテ戦記』は再読したい。◆いい本なのにデザインはショボく紙はペラい。中公文庫で出してほしかった。
2019/07/31
CTC
15年8月文春学藝ライブラリーで復刊。大岡昇平氏による、野間宏・阿川弘之・いいだもも・古山高麗雄・大西巨人・古屋健三・池島信平・司馬遼太郎・結城昌治各氏(掲載順)との対談集。単行本は昭和47年刊、各初出は昭和28年〜47年の雑誌対談。大岡さんは47年に芸術院会員(終身年金、天皇陪食の機会あり)になる事を辞退している。当時は随分話題になったようだが、今日一般的に理由は「捕虜になった身で恥ずかしい(大意)」と簡単な言葉で説明される。本書内ではより詳しい心境が確認できる。“戦没者に対して”。一貫している。
2016/06/23
Haruka Fukuhara
内容は解説の言葉で言うところの「戦後がない」世代からすると隔世の感があってあまり面白くない。ただ歴史的な見地から有益かもしれないと思い半ば義務的に文字を追った。「ある世代では戦後が終わっておらず、ある世代では戦後は終わっており、ある世代ではそもそも戦後がない」という解説の指摘には唸った。文庫で1220円という定価は発行部数を予想するとやむを得ないのかもしれないが、価格に見合った体裁を整えても良かったのではないか。表紙のデザイン、紙質、等々とても買う気が起きない。図書館本。
2017/03/03
呼戯人
民間会社からのインターンシップで自衛隊に派遣する経済的徴兵制が検討されているというが、まず最初の戦地は南スーダンになるのか?大岡昇平は35歳のサラリーマンだったが、昭和19年徴兵されてミンドロ島に派遣された。アメリカの俘虜として、アメリカもやらないような戦争に日本は下請け会社として戦地に派遣されるようになるのか?そんな戦争法案を本当に強行採決するのか。我々はアメリカの奴隷として死ぬのか?
2015/09/16
Shuhei Yamakawa(大学生)
まだ大学生の私は、戦無派といわれる世代でもあり全くもって戦争というものにリアリティーを感じない。『火垂るの墓』や『永遠の0』ぐらいが戦争を覗き込む手段だったが、それでも戦争を巨視的に捉えたとは決して思えなかった。そのような状況で、この対談集には非常にリアルで熱いものを感じた。戦争文学の枠組みを作ったともいえる大岡昇平の思想も骨太で面白く、自己の体験から醸し出される議論は白熱していて刺激的であった。ただ、会話に海外文学の作者や思想が度々出てくるので一々調べながら読んでいくと思いの外時間がかかる。
2017/02/01
感想・レビューをもっと見る