新編 天皇とその時代 (文春学藝ライブラリー 歴史 35)
新編 天皇とその時代 (文春学藝ライブラリー 歴史 35) / 感想・レビュー
フォン
昭和末期から平成にかけて書かれた江藤淳の天皇論を纏めた一冊。昭和天皇への熱い思い。象徴天皇制への違和感。期せずして自らが皇室の外戚になったことへの戸惑い。書中の皇室は国民に愛されようとする必要はないという江藤の論は極論だが、一方で我々国民は天皇陛下、皇族方の計り知れない日本国、国民に対する御努力をまるで当たり前のものの如く、享受しているのではないかと昨今、思ってしまう。「『象徴天皇制』とは、そもそもはじめから、すでに破れ目を無惨に露呈した制度であった」という江藤の予言めいた主張が実現しないことを願う。
2019/06/07
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