流浪の手記 (徳間文庫 626-1)
流浪の手記 (徳間文庫 626-1) / 感想・レビュー
kokada_jnet
深沢七郎の本が、なぜか、徳間文庫で出ていたとは知らなかった。元本が徳間書店から1967年に出ていたのこと。中公文庫の『書かなければよかったのに日記』『言わなければよかったの日記』との関係がよくわからない。なお、この人については、「ゲイで、アスペルガー症候群の人だった」ということで、かなり理解が可能なような気がする。
2019/12/24
Yusukesanta
とにかく読めば読むほど深沢七郎という人物がまったく実態が掴めなくなってくるからスゴい。七郎の随筆は、小説とはまた違う次元の得体の知れない面白さがあるのだが、それを説明しようとしても此れは難しい。「ノー・プランの極み」と言えばいいのか七郎が旅に出て、ある人物に出逢ってヨクワカラナイ何かが起こる。「アレ、これ今、オレは何を読んでいるだろうか?」感といったら無い。「おいらは淋しいんだ日記」とか深田久弥に会う話とかの短めの文章に時々現れては消える黒犬が吠えたてるように人類憎悪が必ずや噴き出す瞬間が堪らなく面白い。
2016/10/30
hiko1
いのちのともしび→著者が流浪の生活をしていたときのことを書いたエッセイ。著者六月の末ごろ札幌にいて、イチゴが山盛りになって売られているのを目撃し、その値段の安さ、食べたときの美味しさにびっくりする。その驚きを「わーっ」と大声を出して表現してしまうところは子どものようである。旬のものを産地でふんだんに食べること、その喩えようのない幸せが行間からにじみ出てくる文章である。
2022/02/05
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